アマダイ(甘鯛)

 京料理ではおなじみの魚、アマダイ。
 料亭でもよく使われる魚で、関西では「ぐじ」と呼ばれて親しまれている高級魚ですが、確かに、他の魚とは一線を画す美味さを持った魚です。

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  アマダイ

 アカアマダイ、シロアマダイ、キアマダイといて、キアマダイは少し味が落ちるため安いけど、あまり見かけません。
 アカとシロは本当に美味しく、立派なサイズのものになるとべらぼうに高い。
 一番よく獲れるのはアカアマダイですが、小さいサイズならそこまで高くないので、関西のスーパーなどで安く売られているのはアカアマダイでしょう。

 アマダイも劣化の早い魚で、状態の良いモノを、上手に調理しないとたいして美味しくならない、デリケートな魚でもあります。
 
鮮度が落ちるとすぐ生臭くなり、そうなるとアマダイの価値は半減以下です。
 また、身に水分の多い魚なので、ただ焼いただけでは、その美味さを十分にはひき出せません。

 アマダイは、鮮度の良いうちに塩で締めて水気を少し抜くことで、絶品の魚になります。
 古くから、福井の若狭湾で獲れた「若狭ぐじ」(アマダイのことを関西では「ぐじ」と呼びます)を使った京料理が有名で、獲れたての活きの良い物を、内臓を取ってすぐに塩をすることで鮮度落ちを止め、そうすることで京都でも美味しく食べられたわけですが、そのやり方は単に保存方法としてだけでなく、アマダイの旨さを引き出す方法にもなっています。

 アマダイの味について、wikipediaなんかには「淡泊」と書かれてますが、淡泊どころか、旨味の非常に強い魚だと思います。
 確かに味わいはシンプルで、香りもすっきりしてはいますが、これだけ旨味のある魚を「淡泊」と表現するのはいかがなものかと。

 ただ、おろしてそのままだと水分が多いため、塩をして脱水ペーパーで巻き、身から余分な水分を出して引き締めます。
 そうして旨味が引き出されたアマダイの旨味は、真鯛やヒラメなどよりも、はっきりとした直撃的な旨味が立ちます。

 雑味がない分、旨味がストレートに感じられ、その味わいがアマダイならではの特徴だと思います。
 また、鱗が細かく柔らかいので、鱗はひかずに(というかひいたら皮がボロボロになります)そのまま塩焼きにすると、鱗がパリパリと香ばしくなり、それがまた美味しい。

 最近ではフレンチなどでも利用されているようですが、日本の魚の美味しさを代表する素晴らしい魚だと思います。
 

 

 
 


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