スパゲッティ・カルーソ

 懐かしの洋食屋メニューの一つ、スパゲッティ・カルーソ。
 「スパゲッティ・カルソ」とか「スパゲッティ・カルソー」などとも言われますが、牛肉の細切り肉とデミ風のトマトソースのスパゲッティです。

 この料理は、アメリカン・イタリアン(アメリカ生まれのイタリア料理)の古典的な料理の一つで、「カルーソ」というのは、オペラ史上屈指のテノール歌手として有名な、エンリコ・カルーソ(1873〜1921)の名前に由来します。

 カルーソがニューヨークのメトロポリタン劇場で活動してた頃、近くのレストランでお気に入りだった料理で、オリジナルは鶏のレバーとトマトをベースにしたパスタ料理です。
 作り方は、鶏のレバーとタマネギ、ガーリックをバターで炒め、ワインをしたところにイタリア産のトマトを合わせてソースにし、茹で上がったパスタと和え、仕上げにパルメザンチーズをふります。

 しかし、この料理が日本に伝わった時、鶏のレバーが仔牛の細切り肉に置き換わって広まりました。明確な元祖はわかりませんが、横浜ホテルニューグランドの初代総料理長、サリー・ワイル氏が戦前のニューグランドのメニューに加えたアメリカ料理の一つで、その時の作り方が、仔牛の細切り肉を使っていたようです。

 以降、ニューグランド系コックの活躍とともに、仔牛肉の細切りを使ったカルーソのほうが日本では一般的になって広まり、日本の西洋料理の集大成と言える料理書『荒田西洋料理』でも、作り方は鶏レバーではなく仔牛の細切り肉になっています。

 また、仔牛肉は日本では手に入りにくいので、普通の牛肉の細切りや豚肉で代用したり、トマトソースでは味が軽いためグラスソースを加えてコクを出すといったアレンジもされ、店によってはカルーソの説明を、「ストロガノフ風スパゲッティ」と書いている店もありました。

 1980年代頃に、本格的なイタリア料理がブームになってからはアメリカン・イタリアンのスパゲッティ料理は人気がなくなり、今ではレストランのメニューからほとんど姿を消しましたが、絶滅してしまうにはもったいない、美味しいスパゲッティ料理です。

 なお、イタリアにもカルーソの名を冠したパスタがありますが、こちらはトマトやズッキーニを使ったパスタで、鶏のレバーは使用しません

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 スパゲッティ・アッラ・カルーソ(調理:管理者)

 
 


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