魚の刺身と食中毒日本人の大好きな魚の刺身。
でも、外で食べると高い。買って食べても高い。
安く美味しく食べるには、自分で釣るか、丸魚を買って自分で捌くのが一番。
でも、そこで気になるのが食中毒。
そこで、家庭で刺身にする時の注意点を書いてみようと思います。●鮮度が良ければ何でもOK?
よくある誤解。大変な間違いです。
釣りたての魚でも、食中毒になることはあります。それは、毒を持っているとか、そもそも食べられない魚という意味ではなくて、アジやヒラメといった、よく刺身で食べられる魚でも、食べ方を間違えると当たる、ということです。それは、「雑菌」と「寄生虫」です。
刺身で食中毒になる理由は大きく3つあって、一つ目は鮮度の劣化によるもの。二つ目は雑菌によるもの。三つめが寄生虫です。
鮮度の劣化は言うまでもありませんが、雑菌は、魚を捌く時に、魚を洗ったり処理するのをいい加減にすると、魚の表面とか内臓についている雑菌が、まな板や包丁について、それが刺身に移ってしまって、食中毒を起こす場合。
これは不注意によるものなので、几帳面な人なら発生しませんが、そんな人でも知識不足によってよく発生する食中毒が「寄生虫」によるものです。
●新鮮でも怖い寄生虫
魚の寄生虫には色々ありますが、海の魚の場合は、だいたい「アニサキス」です。これは、魚を捌いていると、しょっちゅう見かけます。
アニサキスは、新鮮な魚の場合、だいたい肝臓に寄生していて、目で見えます。
小さな糸ミミズのような虫で、ヒョロっと動いていることもありますが、円形状に埋まっていることが多いので、魚の肝に小さな丸い跡があれば、それは間違いなくアニサキスです。取り除けば問題ないのですが、肝を取ってしまえば大丈夫かというと必ずしもそうでもなく、魚は死ぬとすぐに内臓がヘタってくるので、するとアニサキスは内臓から身のほうに移動します。
そうすると、結構見えにくく、見落としがちなので、注意が必要です。サバ、ヒラメ、サケ、スルメイカなんかによくいる虫で、誤って食べてしまうと、この虫は人間の胃の中に食いつき、大変な激痛に見舞われるそうです。
命にかかわる寄生虫ではありませんが、1~2日は強烈な腹痛で地獄を見ることになるらしく、全国でもアニサキスで病院に運ばれる人は結構多いそうです。
その治療も、胃カメラを飲んでピンセットで除去するらしく、結構大変みたいです。加熱すれば全く問題ない虫ですが、海釣りをする人や、スーパーで丸魚を買って家で刺身にしようと思っている人は、絶対知っておかなければならない知識です。なお、アニサキスは酢や塩では死にません。
川魚については、色々なタイプの虫がいて、命にかかわる場合もあり、危険度はアニサキスよりも上です。しかも、目では見えない虫もいるので、川魚の生食は、絶対にやめたほうが良いでしょう。
よく、川釣りをする人で、「いつも刺身で食べてるけど平気」という人もいますが、それは全ての川魚に寄生虫がいるわけではないからであって、いつ当たってもおかしくないリスクがあることを知っておいたほうがいいでしょう。
●正しい知識を持つ
こうした寄生虫は、鮮度に関係なく存在します。
だから、スーパーなどで「刺身用」と書いてあっても、丸魚の場合は、寄生虫がいるかどうかは自分で確認しなければなりません。また、一時問題になった「ホタルイカの踊り食い」のように、危ない寄生虫がいるから地元では絶対にそんな食べ方をしないのに、誰かが勝手にやり出して、あたかもそれが本場の食べ方だと誤解され、食中毒者が続出するといったことも起きているので、不確かな情報に惑わされず、正しい知識を持つことが大切です。