鮭の旬

 日本の大衆魚として馴染み深い「鮭」
 サケの仲間は多くの種類がありますが、昔から日本人が「鮭」として身近に馴染んできたのは、「白鮭」(シロザケ)というサケです。

 鮭の旬と言えば、秋です。スーパーなどでも、9月頃から、「秋鮭」(アキアジ、アキジャケ)として、安くたくさん出回りますが、これがまさに白鮭のことです。
 しかし、実は白鮭
には二つの旬があり、6月頃にも白鮭はよく獲れ、市場に出回ります。これは「時鮭」(トキシラズ、またはトキザケ)と呼ばれ、白鮭のもう一つの旬です。本来、秋にやってくるはずの鮭が初夏に獲れることから、季節外れの鮭ということで、「トキシラズ」と呼ばれるわけです。

 鮭という魚は、川で生まれて海に出て、産卵のためにまた川に戻ってくる、ということはよく知られていますが、秋に、産卵のために沢山帰ってくるところをつかまえたのが、秋鮭なのです。
 一方、6月頃に獲れる白鮭は、ロシア方面で生まれた鮭と言われ、産卵するためでなく、ちょうどその時期に三陸から北海道のあたりを回遊するので、そこをつかまえたのが時鮭なのです。

 どちらが美味しいか?となると、一般的には時鮭のほうが美味しいと言われています。
 それは、秋鮭は、長旅をして産卵のためにやってくるので、体力もエネルギーも卵に消費しているため、身が締まって脂も落ちてしまっているからです。一方、時鮭は、まだ産卵前の若い鮭なので、身も太って脂をたくわえているため、ジューシーで美味しいのです。
 ただ、身が締まった秋鮭こそ「これぞ鮭」という人もいるので、結局のところは好みではありますが…。(昔の日本では、魚の脂は必ずしも好まれておらず、マグロのトロも捨てられていたそうです)

●味の旬と漁期の旬

 よく、魚の旬は二つあると言われ、一つは「味の旬」、もう一つは「漁期の旬」だそうです
 味の旬は、まさに「時鮭」のように、脂の乗った美味しさの旬。漁期の旬は、「秋鮭」のように、魚が大量に獲れる時期。「鰆」(サワラ)なんかも、そうした二つの旬のある代表的な魚で、春になると産卵のために沿岸にやってくるため「春を告げる魚」とも言われ、字が示すがごとく、春に旬(漁期の旬)を迎えます。しかし、冬の脂の乗ったサワラは、鯛を凌ぐ旨さとも言われるほど美味しいので、味の旬は、冬なのです。

 美味しさの旬と漁期が一致している魚も多く、鮭のように秋に味が落ちる魚も例外的にいますが、多くの魚は、秋〜冬にかけて、脂をたくわえて美味しくなり、味の旬を迎え、漁も盛んに行われます。秋サバ、秋カマス、寒ブリ、寒ビラメ…などなど、あげればきりがないほど、秋・冬の海は、美味しい魚の宝庫です。


 


 →雑学indexへ