ほうれん草は生で食べられるか

 昔から「ほうれん草は生で食べたらいけない」と言われていました。
 僕も子供の頃に、母親から「ほうれん草は必ず茹でてから料理に使う」と教わりました。

 ですが、最近ではサラダ用ほうれん草、なるものがスーパーに出回っていたりするので、実際何が問題なんだろう? と思ったことのある人はいるはず。

 結論から言うと、「サラダ用」と書いていないほうれん草でも生で食べられますが、多量に食べると良くないです。
 というか、生であるかどうかではなく、アク抜きしているかどうかが重要で、アク抜きしていなかったら、加熱していても注意が必要です。

 ほうれん草を生で食べらたらいけない、とされる理由は、ほうれん草に多く含まれる「シュウ酸」という成分のためです。
 
シュウ酸をたくさん摂取すると、尿の中のタンパク質と結合して結石になり、尿路結石という病気にかかってしまいます。

 また、「生」というのは正確な表現ではなく、「アク抜きしているかどうか」が重要で、生のほうれん草をそのまま炒めただけだと、やはりシュウ酸が残っています。

 何故昔はだめだったものが、今は大丈夫なのかというと、昔と今では作り方が違うからです。
 土作りも肥料も種も違うというのもありますが、昔のような土耕栽培ではなく、水耕栽培しているとことも多く、そもそも昔ほどシュウ酸が多く残っていません。
 昔のほうれん草はシュウ酸が多かったので、アク抜きが不十分なほうれん草を食べると、シュウ酸が歯のカルシウムと結合し、歯が微妙にキシむような感触になって後味が悪なったものですが、最近のほうれん草だと、アク抜きせずに2〜3束食べても、ほとんどそうした後味は残りません。

 とはいえ注意は必要で、「毎日多量に食べ過ぎない限りは大丈夫」なんて書いているサイトがありますが、安易に考えない方が良いとは思います。
 何故なら、シュウ酸はほうれん草だけでなく、タケノコやお茶、コーヒーなど、様々な食品に含まれているからです。
 ほうれん草単体を毎日何キロも食べる人はいないでしょうけれど、人によっては食生活トータルでのシュウ酸摂取量が過剰になりがちなので、やはり注意が必要だと思います。

 それに、ほうれん草は、炒めるとめちゃくちゃカサが減ります。
 フライパンに溢れんばかり量のほうれん草を炒めても、出来上がりは小さなお皿にちょこっとにしかなりません。
 よくネットでは「ほうれん草を一キロも食べない」なんて書いている人がいますが、実際のところ、ほうれん草一キロなんてペロッと食べられてしまいます。ほうれん草好きな人ほど注意が必要です。

 アク抜きの仕方は簡単で、茹でるか、根元を切って水につけておくかです。
 シュウ酸は水に溶けるので、茹でたり水につけておいたら抜けます。
 水につけておく場合は、途中で水を交換したほうが良いです。
 ただ、あまり長時間茹でたり水につけていると、栄養も抜けてしまいます。

 「サラダ用ほうれん草」といって売られているものは、品種改良してシュウ酸の含有量を抑えているので、アク抜きせずとも問題ないでしょう。

 ほうれん草は、それだけ炒めて塩コショウするだけでも美味しいですが、肉とも魚とも相性が良いので、色々な料理に使えます。

 洋食の定番としては、ベーコンと一緒にバターでソテーしたり、肉や魚料理の付け合わせにしたり、ミキサーで混ぜて裏漉ししてソースやスープにしたり、様々な使い方が出来ます。
 サーモンとほうれん草のクリームソースなんかも、洋食パスタの昔からの定番です。

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サーモンとほうれん草のクリームソーススパゲッティ(調理:管理者) 
 


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