春といえばボンゴレ

 春に旬を迎えるアサリ。
 実がふっくらと大きくなり、値段もお手頃。
 アサリを使った西洋料理とえばやっぱり、日本でも人気のパスタ料理、スパゲッティ・ボンゴレ。
 
もともとアサリ自体が日本人にとって馴染みやすい食材なので、日本人受けが良いのは当然と言えるでしょう。
 
しかも作りやすく、専門店と変わらないレベルのものが家庭でも容易く作れるのが嬉しい料理。

 ですが、それだけではありません。
 ボンゴレを上手に作るポイントを理解したら、パスタ料理の幅がぐんと広がります。
 作ったことがない方は、是非挑戦してみてください。

 ボンゴレを美味しく作るポイントは、アサリをたっぷり使うことでしょう。
 
一人前(スパゲッティの乾麺100gくらい)に対して、殻付きアサリを200gは使いたいところ。

 そして、美味しさの決め手はガーリックの炒め具合。
 
じっくり狐色になるまで火をいれ、香ばしい香りをしっかり引き出すこと。
 ペペロンチーノの要領です。

 この二つをおさえていれば、不味い料理になることはありません。

 ガーリックを上手に色付かせるコツは、フライパンを回したり、傾けたりして、ムラなく色付かせること。
 
そして、綺麗に色がついて「ここぞ」と思った時にワインを入れて、それ以上色が変わるのを止めることです。
 ただ、ガーリックの炒め具合にも好みがあり、あえてガーリックを雑に刻んでムラをつけ、香ばしさとフレッシュ感あるにんにくの味わいを共存させる作り方もありますが、いずれにしろこのガーリックの炒め具合が、料理の個性に直結します。

 そして、あさりを蒸している時に、イタリアンパセリがバジルを必ず投入しましょう。
 
そうすることで生臭さが中和され、すっきりとした風味になります。
 パセリは飾りではありません。葉っぱの香りが、美味しさの絶妙な均衡を生み出します。

 唐辛子(鷹の爪)も入れたほうが、より香りが良くなります。
 
辛さが苦手な人は割らずに入れると良いでしょう。

 ちなみに、この時点で塩とエキストラバージンオイルを加えれば、アサリのワイン蒸しというつまみにもなります。
 パスタとして仕上げる場合、基本的に塩は入れません。あさりに塩分が含まれているからです。(ただしパスタを塩ゆでしてる前提)

 パスタと合わせる時、こだわるならソースとパスタを乳化させます。
 
乳化のコツは、茹で汁をたっぷり入れ、そこに2〜3分硬めに茹で上げたパスタを投入し、フライパンでしっかり合わせて煮詰めて調整すること。

 パスタのでんぷんが溶け出し、良い感じに油分の乳化状態を安定させると、ソースがパスタにまとわりつき、より美味しく食べられます。

 また、その時は一度アサリを取り除いておきます。
 
アサリを入れたままカンカンあおると殻が割れやすいのと、アサリに火が入り過ぎて縮んでしまうからです。

 さらに味のレベルを上げたいなら、別に用意した魚介のブロードや、昆布出汁を加えると旨さに深みが出ます。

 たまねぎなど野菜系の具材を加えても美味しいですが、そうするとボンゴレらしさが弱まるので、個人的にはそうするくらいなら別の料理にしますね。

 アサリの汁とパスタでシンプルに仕上げたボンゴレを「ボンゴレ・ビアンコ」と言います。
 
「ビアンコ」とは白という意味です。

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 スパゲッティ・ボンゴレ・ビアンコ(調理:管理者)

 このきつね色のガーリックに、魚介をワインと茹で汁でソースにし、ハーブで香り付けする、という、この手順と味加減を理解すれば、複数の魚介を入れてペスカトーレにしてみたり、ドライトマトやブロッコリーを加えたり、様々な魚介ベースのパスタを自由自在作れるようになります。

 一番シンプルな展開例としては、トマトソースを加えて仕上げれば「ボンゴレ・ロッソ」になります。
 「ロッソ」とは赤という意味です。

 ボンゴレは和風アレンジも美味しいです。
 
白ワインの代わりに日本酒、パセリの代わりにシソや万能ねぎ、オリーブオイルの代わりにごま油を使うと良いでしょう。

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 ネギと大葉の和風スパゲッティ・ボンゴレ(調理:管理者)


 パスタではなく蕎麦を使っても美味しい。
 蕎麦を使う場合は、茹で上がったら一度冷水でしめてぬめりを取り、それをもう一度茹で湯の中に再投入して蕎麦の温度を上げ、それからフライパンで合わせると良いです。

 また、パスタと違って蕎麦は塩を入れて茹でないので、ソースに塩を強めに入れるのが味加減のコツです。

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 蕎麦ボンゴレ(調理:管理者)
 
 


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