果物の温度と甘味

 甘味は料理においてとても奥深いです
 科学的に分解していくとかなり複雑なので、興味のある人はぜひ調べてみてください。

 ここでは、果物を美味しく食べるための豆知識をご紹介します。

 基本的に、果物は冷やした方が甘味をより強く感じます。

 りんごやぶどう、すいかといった果物は、特にそうです。
 みかんや桃、バナナなどは、さほど変わりませんが、微妙に甘く感じられます。

 何故そうなるかというと、糖の種類が違うからです。

 果物の甘さは、大きく分けて果糖類とショ糖類があります。
 ショ糖類は、通常の砂糖と同じで
、基本的にどんな温度でも甘味は変わりません。
 
ですが果糖は、10℃くらいの温度で、ショ糖よりもずっと甘味が強くなり、60℃を超すと逆に甘味が弱まる性質があるのです。

 つまり、果物の持つ糖が、何の種類が多いかによって、甘味の感じ方が温度で変わってくるのです。

 最初にあげたりんごやぶどう、スイカなどは、果糖が多いので、冷やしたほうがより甘味を感じられます。
 スイカを冷やして食べたほうが美味しく感じるのは、そういうわけです。

 一方、みかんやバナナなどは、ショ糖の比率が高いので、常温でも十分甘さを感じられます。

 ただ、人間の味覚は、冷たすぎたり熱すぎたりすると、甘味を感じられなくなります。
 なので、キンキンに冷やしてしまうと、ショ糖はもちろん、果糖でも甘さを感じられなくなります。
 また、酸味とのバランスもあり、酸味が強いと甘味の感じ方は和らぎます。
 焼きリンゴを感じられるのは、焼くことで酸味が減少するからです。

 それでも、低い温度では果糖のほうが甘味を感じやすいので、よくジュースの原材料に「果糖ブドウ糖液糖」と書いてあるのは、冷たく冷やした飲み物では、通常の砂糖(ショ糖)より、果糖ブドウ糖液糖(異性化糖)のほうが甘味を感じやすいからです。

 この甘味と温度の原理は、料理にも影響があり、料理の甘味をつけるのに、何を使うかによって、感じ方は変わります。

 この果物の果糖の例でいくと、料理の甘味を出すのに、果糖系の果物を使うと、温度によって甘味の感じ方が変化するということです。
 例えば、煮込み料理に果糖系の果物を使った場合、熱々の状態だと、口に入れた瞬間は甘味を直撃的には感じません。しかし、口の中で温度が下がり、体温に近付くことで甘味がじわっと出てきて、奥深いような甘味に仕上げられます。

 甘さの出し方には、みりんや、水飴、蜂蜜、メープルシロップなど、色々な素材があり、素材によって砂糖とは違った甘味や風味が生まれるので、色々試してみて下さい。

 個人的には、西洋料理に甘味を加えたい場合、蜂蜜やメープルシロップがとても相性良いと思います。
 和食なら、上等なみりんが良いです。上等なみりんは高いですが、砂糖で甘味をつけるよりも、ずっと丸みがあって奥深い甘味になります。


 


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