出汁昆布

 昆布だしは西洋料理の基本ではありませんが、日本人としては料理に欠かせない要素です
 今日の日本では、和食に限らず、フレンチや中華料理でも、昆布だしが活用されています。
 
 ですが、スーパーなどで、色んな種類、値段の昆布がありますが、何がどう違うんだろう? と思ったことのある人は多いはず。
 
出汁用の昆布は、種類、値段でかなり質が異なるので、意識して使い分けると、料理の味わいは確実にレベルアップします。

 単純には、値段相応です。
 高いものには高いだけのことはあり、濃厚な旨味が取れます。
 家庭で、安い昆布をちょっと入れたくらいだと、「これで味出てんのかね?」と思ったり、味が足りないと思う人もいると思いますが、安い昆布だとそうなるのは当然なのです。

 高級昆布と言えば羅臼昆布が有名ですが、羅臼昆布にもグレードがあり、安いものは、羅臼といっても値段相応。
 本当の羅臼らしさを発揮するのは、やはり高いものになります。
 
化学調味料に頼らず、天然でしっかりした旨味のある料理を作りたければ、お高い昆布を使ってみましょう。

 種類としては、真昆布・利尻昆布・羅臼昆布の3種類くらいは知っておくと良いと思います。

 真昆布は、一番クセのない出汁の取れる昆布です。
 出汁に色がつかず、昆布臭さが出ず、旨味が出るので、素材の風味を邪魔しない出汁を取りたい時には真昆布が適しています。

 利尻昆布は、昆布の風味がありつつも、それほどクセはなく、旨味はしっかりしていて、色もない出汁が取れます。
 昆布の風味も欲しい時には利尻昆布です。

 そして羅臼は、最も濃厚な旨味が取れますが、強い昆布の風味と、出汁が少し黄色がかった色になります。
 味だけで言えば、上等な羅臼が最強です。上手に出汁をひくと、味の素を入れたかと思うくらい強い旨味がでます。
 ただ、風味も強いので、料理によってはその昆布臭さが邪魔になるかも知れません。

 洋食やラーメンなどで、強い旨味が欲しい時はやはり羅臼でしょう。
 香味野菜や肉、香辛料をふんだんに使うので、昆布のにおいなんて気にならないからです。

 ですが、繊細な京風料理や、香りを重視したソースの出汁として使うとなると、羅臼では昆布の匂いが邪魔になることがあるので、真昆布や利尻が良いと思います。

 ただ、素材を活かした料理に昆布の匂いが邪魔かというと、料理にもよります。
 昆布のにおいは、それはそれで美味しい風味でもあります。

 たとえば、松茸ごはんを作る場合は、個人的には上等な羅臼昆布をおすすめします。
 松茸ご飯は、やはり松茸の香りが主役であるべきで、あまり多種類の素材の香りが混ざらない方がよいと思います。

 あまり他の野菜やきのこは入れず、お米と、お酒、少量の塩・しょうゆだけで仕上げるのが一番だと個人的には思います。
 ただ、そこで使う出汁が、香りの薄い真昆布だとさすがに単調すぎて面白くない。
 といって鰹だしだと松茸の風味を邪魔しますが、羅臼昆布の香りは、松茸の香りを邪魔せず、昆布の風味が絶妙に両立して、素晴らしい香りに仕上がります。

 もちろん好みもあると思いますが、昆布はただの旨味だけでなく、その風味も料理の一部を形成するので、種類選びは重要です。

 とはいえ、高い昆布を使いまくるのはお金がかかるので、色々な野菜や肉、魚を使った料理の場合は安い昆布を使い、素材の味や風味を活かした料理を作るときは上等な昆布を使う、というように使い分けると、昆布ひとつにも使う楽しみが出てくると思います。
 


 


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