プロのフライパン

 アマチュアの人からすると、プロは特殊な調理道具を使ってそうに思われがちです。

 ですが、フライパンについて言うと、少なくとも洋食においては、通常調理に使うフライパンは、そこらで売っているものと、品質的にはたいして変わりません。

 ですが、一般家庭とは選ぶポイントが少し違います。

 それは「耐久性」です。

 飲食店、特に洋食や中華でのフライパンの扱いは、非常に激しく過酷なので、壊れやすいものは向いていません。

 だから、こういったものを使っています。

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 上は、焼き物や炒め物に使う、鉄のフライパン。
 これは必須ですね。とにかく万能。
 
その気になれば、これ一つで、何でも作れます。

 そして下は、パスタなどに使用する、アルミのフライパン。
 
アルミのフライパンだと、ソースの色がよくわかります。

 そして、この両方に共通していることは、おわかりでしょうか?

 そう、持つ所に、木柄などがついていないのです。
 ここがポイントで、家庭用のような、木柄やプラスチックの柄がついたフライパンだと、あっという間に持つ所が壊れてしまいます。
 
だから、お店では、本体と柄が一体化した丈夫なものを使ってるわけです。

 もちろん、加熱している時は、持つ所が熱くなってしまうので、ダスターなどを持って作業しますが…

 ちなみに、、値段的には、そんなに高くはありません。
 鉄のフライパンは、2,000〜3,000円くらいのものです。

 はじめて使うと、すぐに赤錆がついて最初はびっくりするかも知れませんが、使っているうちに、自然に錆びなくなります。

 アルミのフライパンは、鉄よりは高いですが、それでも一万円もしません。
 その値段のもので十分プロの調理に対応でき、しかも、一度買ってしまえば、十年でも使い続けられます。

 アルミの鍋やフライパンで気を付けるのは、酸や重曹、そして空だきですね。
 アルミ鍋の表面は、アルマイト皮膜で加工することでアルミ本体の酸化・腐食を防いでいますが、強い酸や重曹にさらされているとダメになってしまいます。
 食材として気を付けるのは中華麺でしょうね。かん水の代わりに重曹が使われていることがあるので、アルミ鍋を劣化させるとは思いもしない人も少なくないでしょう。
 麺を茹でるくらいなら大丈夫ですが、茹でた後の湯や、湯切りした麺の汁をそのままにしていたりすると、そこから劣化することがあります。
 
空だきをするとひび割れが生じ、そこから劣化することがあります。

 和食の世界では、プロでも伝統的な「雪平なべ」がよく使われていますが、和食では洋食のようにあまり鍋をゆすったりせず、静かな作業が多いので業務用としても耐えられるのだと思います。
 それでも木柄部分が早くにだめになってしまうので、昔の人は木柄を締め直したり、柄を変えたりしていたそうですが、今では買い直した方が安いし楽だし綺麗なので、消耗品のようになっています。


 


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