●このサイトのコンセプト

日本人にとって、全く異文化だった西洋料理。
それが明治維新の頃に日本にもたらされ、
それから約150年。
今やすっかり日本の食文化に定着しています。

このサイトでは、
そうした日本の西洋料理の道のりや、
それらを築き上げてきた料理人たちに
スポットライトを当てたサイトです。

食の大国フランスでは、
料理に関する歴史の本は数多く、
そうした食の楽しみ方を、
ガストロミー(美食学)と呼んでいます。

しかし、日本では、
レシピ本やグルメ評の類の本は
数えきれないほどありますが、
料理界の歴史やその背景を記したものは、
とても少ないように思いました。

美味い・不味い、サービスが良い・悪い、
もちろんそれが食の一番大きな側面ですが、
そうしたグルメ的な一面だけで、
食を「文化」と呼ぶには、
片手落ちのように思います。

また、外食には、
ファッション的な要素もあります。
ただお腹を満たすためだけでなく、
また、美味い不味いそのものよりも、
お洒落な空間で、時間・空間を楽しむ、
ライフスタイル的な楽しみ方です。

ただ、外食にそれを求める感覚も、
今となっては当たり前で、
友達と行く店、デートで使う店、
ただ旨いものを期待して行く店、
そんな使い分けをするのは、
ごく普通のことになっています。

もちろん、こうした感性の変化も、
食文化の進化の結果でありますが、
表層的なお洒落感だけでは、
食を「文化」と呼ぶには、まだ物足りない。

ファッションだって、優れたブランドは、
確固たる理念と技術がその背景にあり、
その積み重ねが歴史となり、
その価値も知られてこそはじめて、
本物の「ブランド」が形成されています。

だから、これからの外食文化も、
「味」や「お洒落」といった
物的なレベルだけではなく、
音楽や絵画のような芸術作品のように、
それにたずさわった人々・職人たちや、
歴史・社会的背景を知ることで広がる、
知的・精神世界の領域まで楽しんでこそ、
真の「文化」と呼べるのではないでしょうか。

だから、このサイトでは、
レストラン業界の歴史や料理の由来、
料理人のエピソードなどを紹介することに
重きをおいています。

マニアな内容が多いかも知れませんが、
そうしたことを知ることで、きっと、
食べることがもっと楽しくなると思います。

また、料理に限らず、職人の世界は、
今も昔も、非常識な荒くれ者が多い世界です。
世の中のコック全てが尊敬に値するわけでも、
それに見合った技術の持ち主とは限りません。

それに、残念ながら、
「たかが水商売の人間にリスペクト?」
と思う人だって、いることでしょう。

それに飲食業界は、昨今話題になっている、
ブラック企業・ブラックバイト問題もあり、
自分で自分たちの社会的地位を
貶めている側面は否めません。

「美味いもんを作ればいい」
「腕さえあれば常識なんて必要ない」

などと考えている、
人として薄っぺらな料理人は、
しかるべき教養を備えるべきですし、
「飲食業はそんなもの」
と、はなからそう考えている
飲食店経営者に対しても、
このページで色々問題提起を
していきたいと思っています。

…とまあ、
長々と書き連ねてしまいましたが、
こうした思いが、
このサイトのコンセプトであります。

 


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