定休日を作れば飲食業界のレベルが上がる

 飲食業界のブラックな労働環境を解消するためには週一の定休日を作れば良い、と書きました。
 まあ、多くのチェーンの飲食経営者は「そんなの非現実だ。バカバカしい」と思うことでしょう。

 しかし、昨今の人手不足や、同一労働同一賃金問題、価値創造といった、飲食業界における様々な問題を総合すると、週一回、いや、もっと言えば「週二回の定休日」こそが、それらの問題を解決する最も有効な手段だと思うのです。

 まず、個人の飲食店では何故定休日があるのでしょうか?
 答えは簡単。店主が休むためです。

 洋食でも、和食でも、店主自身の料理を作って客に提供するのが飲食店の原点です。
 だから、店主が休んだら営業できないのが当たり前なのです。

 では、年中無休の店はなぜ営業できるのか?
  というと、部下やアルバイトが、店主の代わりに料理し、サービスをしているからです。

 これをよく考えてみてください。
 例えば、ある店では、その店主でなければ作れない、その店主が作る料理だからこそ客が通っているとしたら?
 年中無休には出来ませんよね。
 もしくは、自分と同じ腕の弟子を育てるしかありません。

 では、世の中の年中無休の店は、そんなに優れた弟子が揃っているのか?

 違いますよね。
 極論を言うと、年中無休の店は、学生バイトでも作れる料理・運営できる仕組みにしているから、休みが取れるわけです。
 
 「バイトリーダー」という言葉がありますが、某牛丼チェーンなどは、基本的に社員は店に常駐せず、バイトリーダーだけで運営しているのが基本、というくらいです。

 見方によっては、優れた仕組みだと言えるかも知れません。
 しかし、見方を変えれば、そんな程度の店だからこそ、市場価値が低いのです。

 また、料理も接客も、下手をすると店舗運営そのものも、システムが構築され、マニュアルが確立され、バイトでも誰でも運営できる仕組みになっていたとする。
 そうなると、社員とバイトの違いはなんなのか?
 下手をすると、社員よりもバイトのほうが仕事が出来る、みたいに思われしまうことすらある。
 そうなると、同一労働・同一賃金の問題が発生してしまいます。

 確かに、社員が安定した休みを取り、長時間労働をしなくてもよくするため、作業を簡素化・単純化し、仕組みを構築したわけですが、よくよく考えるとこれって、本末転倒ではないでしょうか?

 本来なら、プロの技術で、価値ある商品を提供してこその「外食」のはずなのです。
 なのに、素人のバイトでも作れる料理・サービスで、その価値を生み出せるのか??

 何が言いたいかというと、バイトリーダーなんて、いらないのです。
 調理を単純化する必要もない。
 営業時間中は、「プロ」であるべき社員が常駐し、プロの技術でプロの商品を提供すれば良いのです。
 じゃあ、社員がいない時間はどうするのかって?
 もちろん、社員がいない時間は店を閉めるのです。

 これが、本来の飲食店の姿ではないでしょうか?

 無理にバイト化なんてしなくて良いのです。
 調理も接客も、難しくて良いのです。
 「プロ」である社員がやるから問題ない。
  「プロ」がやるから、より高い価値のある商品・サービスを提供できる。

 これこそが、これからの飲食企業が目指すべきものではないでしょうか?

 働き方改革だとか、ブラック問題の解決のために、機械化だとか、ロボットの導入だとか、色々と言われていますが、それらはイノベーションのように見えて、実はどれも本質から外れた、対処療法に過ぎないのです。

 法定休日の数は定休日にすければ全てが解決する話なのです。

 実際、最近オープンするこだわりのラーメン屋などでは、ランチしか営業しないとか、週休2日のラーメン屋が増えています。
 素材を吟味し、手間暇かけたスープ、そして麺も自家製だったりと、誰でも作れるようなラーメンではない。
 店主がいなければ作れない。

 だから、定休日があり、営業時間も、店主の体力・生活に応じた、現実的なものになる。
 しかし、その分、作るラーメンは、店主の腕が存分に発揮された、商品価値の高いラーメンとなるわけです。

 チェーン店だって、そうなっていけば良いのではないでしょうか?

 高い技術による、価値のある商品が提供され、そして従業員の労働環境も安定するとなれば、いいことづくめです。
 アメリカの「Chick-fil-A」というファーストフードチェーン店は、毎週日曜日が定休日です。
 そんな営業姿勢でありながら、同店は、アメリカで五本の指に入る大人気チェーン店です。
 このように、決して前例がないわけではないのに、何故フォロワーになろうとしないのか?

 日本の飲食経営者は、考えを改めるべき時に来ているのです。

 

 


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