題名の通りの記事が、弁護士ドットコムでニュースになっていました。
ラーメン&炒飯セットを頼んだら「ギョーザ」も出てきた! 支払わないとダメ?
注文したのは「ラーメン&炒飯セット」なのに、「ラーメン&炒飯&餃子セット」が出てきて、店員に「注文と違う」ことを伝えると、「出したから食べてください」と言われ、代金も餃子セットで請求されたとのこと。
ちなみに、弁護士の回答としては「支払うべき」という回答。
これに対して賛否の意見があり、元の「ママスタジアム」では、店が悪いというコメントが多く見られました。
これって、支払うべきかどうのというより、記事そのものが信じられません。
普通の飲食店で、こんなことする……というか、そんな「言い方」でその対応をする店が存在するとは思えません。
勝手に料理を出しておきながら、「出したんで食べてください」と言って料金を取るなんて、ぼったくりバー並の手口です。
本当に事実がそのままなら、店が悪いでしょう。でも、この手の話って、投稿者が自分の都合のいいように事実を捻じ曲げている可能性が高い。
例えば、実際はいきなり食べてくださいと店員が言い切ったのではなく、「焼いちゃったんで、食べますか?」と聞いていたとか。
こうなると、お客さんによっては、"間違って焼いてしまったから、サービスしますんで食べますか?" と言ったと思われる可能性は十分にありえる。
でも、これならサービスすると約束したわけじゃないから、客側が「食べます」と言った時点で契約が成立すると思う。弁護士の回答どおり。記事では、「食べたくもない餃子を食べて金を取られた」とあるけど、食べたくないなら「いりません」と言って食べなきゃ良かったのに。
食べるのなら、黙って食べるのではなく「これってサービスですか?」くらい聞けば済んだことでしょう。でも、もっとありえる別のケースとして、実は最初に餃子セットで注文しておきながら、途中で「やっぱり餃子キャンセルで」とこの投稿者は言ったんじゃないかと。
しかし餃子はもう焼きあがってしまったから、店としては今さらそれはないだろと、「もう作ったんで食べてください」と言ったという流れです。
なのに投稿者は、キャンセルしたはずなのに、店から無理矢理餃子を押し付けられたと思い込んでいる。
この手の話って、そうした事実の一部を隠し、店員とのやり取りも、微妙に言葉を変えてる匂いがする。
どんなに横柄な店員でも、勝手に作って「出したんで食べてください」の言い方はさすがに無い気がする。何故こうした想像するかというと、レストランで注文を後からキャンセルする客って意外と少なくないからです。
注文後すぐではなく、注文して何分も経ってからとか、ひどい輩になると提供直前に言ってくるのもいる。
それでも、「今からでもキャンセル間に合いますか?」ならわかりますが、「キャンセルで」と一方的に言ってくる客が多い。過去に自分が体験した例を話しましょう。
ハンバーグを注文され、焼きあげて料理をカウンターに上げたちょうどその時くらいに、ホールのバイトの子が「すみません、今このお客様から、ハンバーグキャンセルと言われたんですけど、大丈夫ですか?」と言ってきたのです。
いや、そりゃないだろと思い、「今さら無理だよ。この料理を持っていって、もう作ってしまったから無理ですって言って」と伝え、料理を出させたんです。そうしたら、その子が、「お客様が、キャンセルするからいらない、と言ってます」と言って料理を持って引き返してきたのです。
仕方がないから僕がその子と一緒に料理を持ってそのお客さんのテーブルに行くと、「キャンセルしたんだけど」とやはり言ってくる。
「そう言われましても、もう出来上がってしまってからでは困ります」と言うと、「いや、まだ料理は来てなかった」と言ってくる。いやいや、そういう問題じゃねえよ。
「料理は、ご注文をいただいてから調理に入ります。ハンバーグの調理は10分以上かかっているし、もう焼き上るという時になってからのキャンセルはさすがにお受けできません」
そう説明したら、「そんなこと言われても食べられないんだけど。食べないのになんで金を払わないといけないんだ」とその客は言ってきました。
食う・食わないの話じゃねえよ。
注文した時点で契約は成立してるから。こうした客に遭遇したことは、一度や二度ではありません。
結局どうなったかというと、しぶしぶお金を払う客もいれば、最後までゴネて払わない客、どちらのパターンもありますが、お金を払った客からしてみれば、まさに「出したから食べてください」と言われた、という気持ちでしょうね。
このニュースにある投稿者も、実はこうしたケースだったんじゃないでしょうか。
常識からすると信じがたい話ですが、テーブルにさえ置かれてなければ、キャンセルが通ると思っている輩は少なくありません。しかし、こういう輩を生んでしまうのは、ゴネた客に対して、店側が折れてしまうからなんでしょうね。
僕も、ゴネられて諦めたことが何度もありますが、それをしてしまうから、店が非を認めた、つまり客の言い分が正しい、と思われてしまうのかも知れない。もしくは、ゴネれば店は折れるもの、と思われるのかも知れない。
けど、忙しい営業中に、そんな面倒な客に時間をかけていられないから諦めざるをえないだけで、いつでも客が正しいと思っているわけではないのです。あとは、間違った「ホスピタリティ」意識ですね。
どんなにわがままな相手だろうと、それを許し受け入れることでリピーターにする、みたいな。そんなのホスピタリティじゃねえよ。
子供のわがままを、あるがままに受けれるのが優しさではないのと同じではないでしょうか?
あらゆることは、常識やマナーの上で判断されるべきです。常識やマナーから外れないことで、多少の手間や採算を考えない対応をするのはホスピタリティだと思いますが、客の言い分ならなんでも受け入れたり、客が喜べばとにかく○、みたいなのは、ホスピタリティでもなんでもないと思う。
少なくとも、従業員にとって過度に不満やストレスが生じるのであれば、何かがおかしい可能性が高い。例えば、階段で重い荷物を運ぶのに苦戦しているお年寄りや女性、子供がいたら、手伝ってあげる。
道端で荷物やお金をぶちまけてしまった人がいたら、拾うのを手伝ってあげる。
そうしたことって、余計な手間といえば手間ですが、それをして不満やストレスを感じることはまずありません。
そういうのはホスピタリティだと思いますが、客の理不尽な言い分を聞くことで誰かが嫌な思いをしたり、店が大きな損失を被るのなら、それはホスピタリティではないと思います。最近、なんでも「これって法的にどうなの?」という記事をよく見ますが、ちょっとずれてきているように感じることも多い。
世の中には法律では測れないことは沢山あります。
人間関係がまさにそうで、例えば目上の人に対する敬語とか、そんなものは法律で決まってるわけではないでしょう?
「先輩にタメ口をきいたら怒られました。これって法的にはどうなんですか?」と聞くような話です。
法律で白黒つけるのなら、店が客に敬語を使わないといけないなんて法律だってありません。ちょっと話が広がってしまいましたが、そんなことを思ったニュースでした。