コロナウィルスと経済活動

 4月16日現在、全国に緊急事態宣言が発令されました。
 コロナ収束の目途がなかなか立たず、国のやってることもよくわかりませんが、座して死を待つくらいなら、何らかの行動をしなければなりません。

 コロナを抑えながら経済を止めないのは難しいですが、今、少なくとも飲食店で出来ることは、テイクアウトや弁当のような物販での努力をするくらいでしょう。
 しかし、何より大事なのは、コロナ終息後に、いかに売上を獲り返すかを考えることだと思います。

 今いくら売上が足りないからと、むやみに営業活動するのは一番良くない。
 だらだら店を開けるくらいなら、閉めるべきだ。
 ジタバタしたくなる気持ちはわかるけど、これはもう無駄なあがきだと思う。

 考えればわかると思いますが、この状況下でレストランが通常の営業活動をすることには矛盾がある。
 開けてれば売上を増やしたくなるのが当然の心理だけど、もしお客さんが沢山集まって来たら、それはすなわちクラスター発生で、今一番やってはいけないことだからです。

 「俺達は生活がかかってるんだ!」
 というのもわかる話だけれど、想像してみてください。
 小林よしのり氏が、「自粛を辞めて経済を回すべき」などと愚かなことを言ってるが、もしみんながコロナ無視して営業活動をはじめたらどうなるか? そして、実際にお客さんが当たり前にレストランや居酒屋にいったり、イベントに行ったらどうなるか?
 全国あちこちでクラスター発生し、感染者増大し、死者がばんばん出てくる。
 そんなの、経済が回ったところで本末転倒だ。
 一つの店だけで見ても、素晴らしいメニューが開発でき、お客さんが殺到したとしよう。
 売上伸びて万歳ですか?? ……とんでもない。近所からは苦情が来るでしょうし、ネットでも叩かれるでしょうし、それでコロナ発生したら一巻の終わり。

 もっとも、コロナで命の危険に晒されるのはほとんど高齢者です。
 なので、経済を回すことを主張する人のは、公言できないだけで、本音はそこは無視していいと思っているのかも知れない。
 そこにこだわって社会全体が共倒れしたらそれこそ本末転倒だと。

 しかし、倫理的にそれがまかり通ることはないでしょう。
 現実として…

 だから、今できることは、テイクアウトや弁当販売のような、つまりクラスターにならないこと、接触が極力少ない商売の方法に力を入れるしかないのです。
 簡単に売れないとは思いますが、通常価格でなく、家賃と水光熱費と材料費を稼げるくらいと割り切った覚悟でやれば、多少は売れると思う。
 ずっとそれを続けるわけでなく、あくまでコロナ終息までの我慢です。

 しかし、もっと大事なのは、コロナ終息後のことを今からいっぱい考えておくことです。
 コロナが終われば、おそらく反動消費があると思う。(業種にもよると思いますが)
 
特に旅行や、団体のパーティ・宴会、これは絶対にある。

 取りやめになった卒業旅行、打ち上げ、クラス会、新歓、会社の歓送迎会などの振り替え実施が、絶対にあると思う。
 そうした振り替え実施のブームが来るかも知れない。
 というよりむしろ、飲食業界が、それを仕掛けていくべきなのです。

 卒業式や入学式が取りやめになるとか、前代未聞です。
 それがこのまま何もなく終わるわけがないし、終わらせてはいけないのです。

 当たり前の思い出作りが出来なかった人に、より以上の思い出となる企画を提案すること。
 それが、豊かな食文化を提供することをビジネスにする飲食業界の役割ではないのか?

 卒業式が出来なかった人のための、特別なパーティプランや特典、そういったキャンペーン。
 お祝いが出来なかった人のための、魅力ある企画・商品を、今は考える時だと思います。

 今は自粛ムードすぎて販促なんて考えにくい状況ですが、コロナが終息すれば、あれは何だったのか? というくらい、通常モードに戻る可能性は高いです。
 コロナが過ぎてもしばらくは様子見するんじゃないか、と予測してる人もいますが、喉元過ぎればというか、日本人って、そういう人種だと思う。
 あくまでも、終息すれば、ですが…

 そうなれば、宴会やパーティのプロモーションをしていくことは、決してあこぎなことではなく、むしろお得で忘れられないような企画を用意することのほうが社会貢献だと思います。

 また、コロナによって事業継続が苦しくなった企業や団体はたくさんあるでしょう。
 そこから、今までにない新しい結びつきやコラボ、そしてファンの創出が出来るかも知れません。
 飲食なら、資金繰りに行き詰った個人店をサポートしたり協業していくこともありえるでしょう。
 有名店や老舗のシェフを集めたスペシャルパーティとかを企画できるかも知れない。
 卒業パーティや新歓パーティが流れた新社会人を狙って、苦境に陥っている紳士服業界や百貨店業界なんかとの異業種コラボなんかもあるかも知れない。

 今までは考えられらなかった合従連衡が生まれる……というより、生み出せるチャンスかも知れないのです。
 そうした活動を通じて、お店や企業のロイヤルティが高まったり、横のつながりが出来れば、企業ブランドの向上と売上増につながると思います。
 コロナが終息したら世の中の価値観や行動パターンが大きく変わる、「ニューノーマル」が日本にも訪れるかも知れないけれど、いずれにしてもそうした未来のことを今から見据える時なのです。

 逆に、その波に乗り遅れてしまったら、それこそ取り返しのつかないことになると思います。
 体力のある会社は、目先のことにジタバタするのではなく、大局を見ることが大事だと思います。
 体力のない個人店は、一寸先すら闇のような状況かも知れませんが、それを救えるのも、体力のある会社しかありません。
 だから、力のないものは助けを求め、力のあるものは手を差し伸べる。
 そうした情報交換のできるプラットフォームを用意するのも必要かも知れない。

 そうした未来トークや、ニューノーマルの議論がもっと活性化すれば、今苦しい思いをしている店にとっても、頑張ろう、乗り切ろう、という気持ちになれるかも知れないし。
 未来トークをすれば、新しい発想が生まれてくるかも知れない。
 最近のニュースはどうしても国の批判や後ろ向きなものが目立つけど、そういう話題を交わしていくことが大事だと思います。
  

 


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