食品偽装について

 一時、有名ホテルのレストランをはじめ、多くの店で、ただの国産牛を和牛と称したり、ブラックタイガーを車海老と称するといった、商品の偽装がニュースになりました。

 そうした報道の中で、業界関係者のコメントとして、

 「飲食業界では当たり前」

 というようなコメントがありましたが、とんでもない話です。

 そんなことはありません。
 これは、断言できます。

 偽装しているレストランの関係者に聞けば、そりゃ「当たり前」とか「みんなやってる」みたいな言い訳をするでしょう。

 でも、それが本当に飲食業界の常識と思われたら、風評被害もいいところです。

 確かに、バレていないだけで、偽装している店は、たくさんあるかも知れません。

 しかし、全国にあまたある飲食店で見れば、偽装なんてしようとも思わず、真面目にやっている店がほとんどだと思います。

 こんなの、例えば、高校生が万引きで逮捕されたら、バレてないだけで高校生はみんな万引きしている、というのと同じです。

 たまたま偽装のニュースが相次いだからと言って、それが飲食業界では当たり前だと思われたら心外です。

 中には、「どうせ素人に味なんてわからないし、騙されて満足してるならそれでいい」と開き直ってる輩もいるらしいですが、そんな輩は、言語道断!

 確かに、味なんてわからない、ってのはわかります。
 しかしそれは、素人だからとか関係ないと思います。

 例えば、エビ。

 冷凍クルマエビを、安物の古い油で、長時間揚げすぎた天ぷらと、良質なブラックタイガーを、上質の油で、最高の温度とタイミングで揚げた天ぷらを食べ比べたら、ブラックタイガーのほうが間違いなく美味しいでしょう。

 料理とはそういうものなので、気付く気付かないの部分だけで話をしても無意味です。

 ただ、そうした一連の事件を機に、すごく気になることがあります。

 それは、商品偽装の防止のために、飲食店での表記法の規制強化が検討されているとか、そんなニュースのことです。

 はっきりいってこれは、全く意味がない。
 役人たちに、税金の無駄な使い道の口実を与えてるだけ。

 何故なら、食品の偽装は、ただの「嘘」です。
 別に、ルールが緩いから偽装したわけじゃない。

 「いけないとは知らなかった」

とかアホみたいな言い訳している輩もいるようですが、そんなわけあるはずがない。

 ただのブロイラーの鶏を地鶏を称して嘘にならないなんて、子供でも思うはずがない。
 偽装している奴らは、100%確信犯です。

 どんな規制を作ろうとも、嘘をつく奴は付きます。はっきりいって、無意味です。
 そんなことしたら、逆に正直者の苦労が増えるだけです。

 それに、偽装なんてのは、飲食でなくとも、スーパーだってメーカーだって、どこでもできます。
 結局は、事業者の意識の問題であって、規制だとか表記だとかそんなことは、関係ないでしょう。

 じゃあどうすれば良いか?
 となると、一番良い方法は、飲食店に従事するパート・アルバイトを対象に、「飲食店の偽装行為」に関する内部告発を積極的に推進するキャンペーンを行い、内部告発が手軽に出来る窓口を設けることでしょう。

 正直言って、生活のかかっている社員に、自分の職場を告発することで、もしかしたら倒産して失業するかもしれないような行動を求めるのは、あまり期待できません。

 ですが、飲食業界はパート・アルバイトの多い業界なので、特に、採用されて間もないような、その職場への義理や執着の少ないアルバイトなら、偽装行為を目の当たりにして、それを内部告発することは、そんなに抵抗ないと思います。

 だから、そうした層をターゲットに、

 「あなたが働くお店、大丈夫…?」
 「偽装行為を目撃したら、すぐ通報!」

というキャンペーンをすれば良いと思います。

 そうやって、食品偽装をするような、低レベルの店主やコックを業界から徹底排除する。
 それしかないでしょう。

 僕のような、飲食業界にいる人間が、こうした、ある意味「自虐的」な内部告発を推進するのは、はっきりいって、これ以上飲食業の規制が強化されるのは、まっぴらだからです。

 ことに、商品偽装みたいな、外道行為をする輩のせいで、真面目にやっているほうの手間や面倒事が増えるなんて、迷惑千万も甚だしい限りです。

 それに、こんな愚かなことをするから、飲食業界の人間がますますバカにされるわけです。
 自分で、自分の業界の社会的地位を貶めているだけ。
 本当に情けない。

 全国の飲食店のみなさん、偽装なんてくだらないこと、やめましょう。

 


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