食べログについて(投稿者のこと)

 僕は、素人の口コミサイトは嫌いじゃない。
 いや、むしろ好きです。

 しかし、有名サイト「食べログ」の投稿者については、全部とは言いませんが、飲食店を論評するには「不誠実」な投稿者が多すぎるような気がします。
 
そもそも味覚なんて、人ぞれぞれ好みがあるし、評価が分かれること自体は当然だと思うので、自分の主観で、どんなに高い点・低い点つけようが、それは本人の勝手だと思います。

 また、「食べログ」というもの自体、しょせんカカクコムという企業がやっているもので、食べ歩きの有志で結成されたサイトではありません。
 奴らにとっては商売ですから、偏った点数基準や、提灯記事を掲載すること自体に、とやかく言うつもりはありません

 ただ、僕の言いたい「不誠実な人」というのは、そういったことではなく、他ならぬ「自分自身の舌」に対しても正直でなく、店を評価して、勝手な風評をばらまいてる人です。

 例えば、よくラーメンマニアの間では、化学調味料に頼らずにどれだけ味を作っているかが、重要な評価ポイントになったりします。
 僕の家の近所に某有名なラーメン店があって、その店は、化学調味料をそれなりに使っていることを、諸事情により僕はそれを知っていました。
 
しかし、その店の食べログ投稿で、とある大御所的な投稿者が、「無化調か、あるいはごく僅かしか入っていない」と評して、称賛する投稿をしたのです。
 
すると、それ以降の投稿に、「丁寧に出汁をとった天然のスープ」だとか、「無化調の上質なスープ」だとか、そういう書き込みが一気に増えました。

 僕がここで疑問視するのは、その誤った味の判断をした、大御所投稿者に対してではありません。
 むしろ僕的には、その大御所投稿者は、評価できます。
 結果的に外したとはいえ、自分の味覚を信じて正直に評価したわけですから。

 問題は、それ以降のフォロワーです。
 自分が化調が入っているかどうかにこだわってるなら、自分の舌で判別しろよと。
 ていうか、自分で判別できないなら、こだわるなよ。

 だいたい、化調なんて、絶妙な分量を隠し味的に使ったら、それを判別するのはプロでも困難です。
 わからないこと自体は、恥ずかしいことではありません。

 でも、こういう投稿をしてる人って、結局のところ、大御所投稿者にのっかってるだけ?
 
そうした、他人の判断におもねるような人が、なぜ「評価」の発信者になろうとするのか??

 他人の情報を参考にしながら、食べ歩きを楽しむこと自体は、ごく普通のことだし、その体験を日記的に自身のブログに綴ったとしても、それも結構なことでしょう。
 でも、
例えば何かの品評会などで、審査員が、自分の判断ではなく、周りの偉い人の発言に流されて点数をつけていたら、審査員失格だと思いませんか??
 
評価サイトに「点数評価を投稿する」ということは、そういうことではないかと思います。

 似たようなラーメンの例では、最近急速に増えている、工場仕込みのスープを使ったラーメン屋です。
 近年は
、業務用食材のレベルがあがり、横浜なんかではいわゆる「家系」のスープも工場化され、素人でも簡単に家系ラーメン店を開けるようになりました。
 そうした工場製品のスープを使った店でも、オープン時は「良く乳化されクリーミーなレベルの高いスープ」なんて評が食べログでなされていたのが、途中で工場製品だと判明するや否や、あっという間に評価が下がり始め、最初に高評価をした人も、自分のコメントを修正したりします。

 結局は、気持ちの問題ですか(笑)
 自分が美味しいと思ったなら、工場製品だろうとなんだろうと、それでいいんじゃないの?
 と思うんですけどね…

 いずれにしろ、自分の味覚に正直に評したのなら、それが的を得ていようが、外れていようが、そんなのは構わないと思うのですが、他人の判断や、頭で得た知識にのっかって、わざわざ「評価者」として情報を拡散する人は、微妙な感じがします。

 でも、ぶっちゃけ、こういう人のほうが多い気がしますけどね。
 だから、新しくオープンした店なんかでも、どういったバックボーンがあるか、系列などの情報があまりわからないうちは、みんな警戒しながらコメントしたり、様子見をしているのがありありとわかることが多い。
 そして、有名な○○店で修行した人、という情報が判明すると急に評価が上がり、どこかの大手が運営しているとわかると評価が下がる(笑)

 マイナーな店の評価を見れば、そういう傾向がすぐに見て取れます。
 地元で「知る人ぞ知る」的な、マイナーなお店って、みんな何故か警戒して高評価しない(笑)

 それが、テレビや雑誌で紹介されて、実は由緒あるお店だったということが知られたり、マニアな投稿者が、実はその店主は立派な経歴の持ち主、なんてことを書きこんだりすると、そこから一気に評価傾向が急上昇します(笑)

 なんか、見ていて本当に滑稽です(笑)

 もう一つ好きでないタイプの人は、「嘘つき」っぽい投稿者。
 これは本当に好きになれません。

 例を出すと、以前テレビのドラマを観ていて、すごくお洒落なカフェが出てきました。
 そのドラマの放映後、何か月か経ってから、たまたまそのカフェを思い出すことがあって、ネットで調べてみたんですね。
 
それで、食べログで見ると、かなりの口コミ件数でした。
 「ドラマに出ると有名になるのか?」と思って、投稿内容を読んでみると、意外と「ドラマを観て」という書き込みがほとんどない。
 
「前から気になっていたカフェ」「たまたま通りがかって入りました」なんて投稿ばかり。

 最初にそれを読んだ時は、食べログ投稿者は、ドラマのロケ地だからといって行くようなミーハー層とは別なのかな?と思って読んでいました。

 しかし、よくよく投稿日を見てみると、最近の投稿がやたら多い。

 それで、投稿日順に見てみると、ドラマ放映以前の口コミは数件しかなく、ドラマにそのカフェが登場してから、すごいペースで投稿が増えていました。

 こんなの、明らかにドラマの影響です。
 
でも、投稿者は「ドラマを観て」とは書かない。
 まあ、コメントで触れかったくらいならまだしも、「前から気になっていた」とか、「たまたま通りがかった」は、完全に嘘っぱちだろ。

 なんなんでしょうね、これ。
 自分をミーハーに思われたくないから?
 いやいや、ミーハーなんでしょ??
 
それとも、ドラマに選ばれるようなカフェを、それと知らずに見つける感性の持ち主だとアピールしたいのでしょうか??

 そうしたことに気付いた瞬間、食べログの投稿者の、醜い虚栄心のようなものを強烈に感じて、とても寒い気分になりました。

 自分の感性で店をどう評価しようと構いませんが、他人の評価にのっかってるだけの人が食通ぶったり、嘘をついてまで自分の虚栄心の道具にしているのは、あまりにも寒過ぎます。
 
昔の「ジバラン」なんて、大好きだったんですけどね…。
 正直で、率直で、個人の見栄だとか虚構がなくて、酷評するにしても、純粋な食べ歩きの熱意を感じました。
 飲食の業界人としても、たとえ悪く書かれたとしても、嫌味には感じず、刺激に思いました。

 別に、ドラマの件なんて、店が迷惑する話ではないので好きにさせとけ、と言われればそうなのですが、そういう精神性の人が、他の店も評価してると思うと、何ともおぞましい気分になります。

 


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