ワタミが、27年3月の決算短信に「継続企業の前提に関する重要事項等」を記載するほど、業績に苦戦しているようです。
ワタミ苦戦の原因書いてあった内容を簡単に言うと、「借金しないとやばい。でも手を打ってます」ということでした。
これが記載されているからといって、経営がもう危険水域だというわけではありませんが、あまりよろしくないのは本当なようですね。
ワタミがここまで傾いた理由は、間違いなく労働環境がブラック過ぎだからでしょう。
表面的に見える現象は、料理やサービス、そして価格かもしれません。
お客さんが一番気にするところは当然そこです。ですが、こうなってしまった原因は、労働環境がブラック過ぎだからということに、なぜ経営者は気付かないんでしょうね?
ほんと、飲食企業の経営陣は、愚かです。
飲食は、「製造業や物販とは違う」ということが、何故わからないのか?「経営の手法」としては、従業員の扱いなんて、ぶっちゃけ本音はドライで、生産性や成果を第一で考えることは、決しておかしな手法だとは思いません。
しかしそれは、従業員の精神状態、肉体的状態が、販売する商品の品質に直接影響を与えることがなく、作業者として機能すればよい業種に限ってのことです。
物販や製造業なら、躁鬱病の人が商品を陳列しようも、二日酔いの人が機械を操作しようとも、それによって販売している冷凍食品の味が変わったり、製造しているレトルトカレーの味が落ちたりすることはありません。
しかし、飲食の場合、過労寸前のコックが厨房に立てば、おかしな料理が提供される可能性があり、心の病んだ従業員が接客すれば、酷いサービスや対応が発生する可能性があるのです。
それを「プロとしてレベルが低い・言い訳だ」と言われればそれまでですが、飲食とは、そういうことが発生する業種だということです。
つまり、ワタミが今のような状況に陥ったのは、従業員を劣悪な労働環境で長年こき使い続けたがために、従業員のやる気が下がり、元気もなくなり、オペレーションは悪くなり、生産性は下がり、料理のクオリティは下がり、開発力もなくなり、サービスも感じ悪くなったのだと思います。
従業員の入れ替わりの激しい飲食店では、どんどん新しい従業員が入ってきます。
企業がどんなにブラックでも、元気なバイトが応募してくれば、一時的に良い状況が断片的に発生するので、一気に全てが悪くなったり、良くなったりもしません。しかし、ブラックな状況がずっと長引いて、その黒い空気が全ての職場に蔓延すると、やる気のある人はどんどんいなくなり、やる気のあった人もどんどんスレて屈折してしまいます。
そして、ここまで世間にも悪評が広まると、やる気のある人が応募することがなくなり、面接に落ち続けてどこにも採用されない微妙な人材の掃き溜めのような職場になります。
これが、ワタミがここまで悪くなった原因でしょう。
でも、こんなことは、ワタミに限りません。
飲食業界には、ありがちなことです。人の手によって品質が左右される飲食業においては、顧客満足と同じくらい、従業員満足は重要です。
でも、それに気付かない経営者は非常に多い。ここに気付かない限り、ワタミの復活はないし、日本の飲食業界の社会的地位の向上も、ひいては日本の外食文化のレベル向上もないでしょう…
甘えや、感傷で、従業員満足と言ってるわけじゃない。
良い人材は逃げていき、行き場のない人が集まってくる、そんな業界が、発展するわけがありません。同じ飲食業界にいるものとして、ワタミの今日は、明日のわが身。
なんとかしたいものです…