コンビニの元旦休業について

 コンビニが元旦休業することについて、ネットでしきりにニュースになっています。

 結論から言うと、元旦に限らず、法定休日数は店舗休業日を設ける権利をオーナーに持たせるのが、あるべき答えだと思います。

 コンビニが飲食チェーンのような直営組織なら一斉休業にすべきだと思いますが、フランチャイズ主体であるコンビニの場合、店主は基本的に個人事業主なので、元旦でも売上を獲りたいと自分の意思で思っているのなら、営業する権利があっても良いと思います。

 直営組織だと一斉休業すべきなのは、本部と店舗が上司部下という評価関係にあった場合、「休む」という判断が「やる気がない」という評価につながる可能性が高いためです。
 ただ、フランチャイズ契約のコンビニオーナーは、売上が上がろうと下がろうと、それで昇進したり降格したりはしないので、それならオーナーが判断すれば良いと思うわけです。

 コンビニの休業について、システム上の問題をどうこういう人がいますが、コンビニに休業対応の仕組みがないわけではありません。
 そもそも、休業日のあるコンビニはこれまでも数多く存在しています。
 それは主に何かの施設の中に入っているコンビニで、その施設自体が休みの場合、コンビニも休業します。
 例えば大きなビジネスビルで、そのビル自体が元旦閉鎖する場合、コンビニも休業しています。
 時短もそうですが、駅に入っているコンビニなどは、24時間営業していないのが当たり前です。

 もっとも、それには何らかのコスト的なデメリットはあるのかも知れません。
 しかし、そういう店はこれまでも全国にいくらでも存在していたわけですから、対応する仕組みも既に存在している筈なのです。
 結局、コンビニ本部が休業に及び腰なのは、利益の問題です。
 ですが、セブンイレブンなんかは、年間の経常利益が2,500億円もあるわけですから(H31年2月決算実績)、元旦休業したくらいでそれが全部ふっとんで赤字になったりはしないでしょう。

 法定休日の数だけ休む権利を与える理由は、本来それが法律であり、労働者の権利だからです。
 コンビニオーナーが労働基準法の適用対象となる「労働者」かどうかはともかく、「働く人」という本質的な意味では同義であり、それだけの日数は休むべきという、法律が定める理念・趣旨としては同じだと思います。

 また、「アルバイトを集められないオーナーの責任」「できるオーナーの下では元旦でもバイトも集まる」と指摘する人がいますが、それは間違った考えです。

 言っていることはわかります。
 飲食でもそうですが、雇用主が、アルバイト従業員と信頼関係を構築し、しっかり意識教育していれば、お盆だろうと正月だろうと、バイトは集められます。
 しかし、それでは、そのアルバイトがお盆・正月を休めなかったことになります。

 確かに、中にはお盆でも正月でも稼ぎたい人もいるでしょう。
 ですが、お盆・正月でもガンガン稼ぎたい人だけを採用するのは不可能です。
 たとえ面接時には「働けます」と言ったとしても、たいがいそれは面接で落とされないための口実であり、学生バイトの大半は休みたがるのが本音です。
 そこで、面接や契約時のことを持ち出したりして、出勤するよう口説くわけですが、それは結局、休みたいのを働かせていることには変わりありません。
 
もちろん、「元旦でも稼ぎたい」と言ってくるバイトが沢山いるのなら、そのバイトに任せてオーナーは休めばいいだけの話です。

 しかしそもそも、「バイトを集められないオーナーの責任」という発想自体がおかしい。
 通常の営業レベルの話ならともかく、元旦に限らず、法定休日数も休めないという非人間的な環境が、そのオーナー個人の力量によって発生すること自体がおかしいのです。

 例えば、一般企業の営業職で、営業ノルマを達成できない社員は、土日も休めず営業に行かなければならないとしたら、どう思いますか? 
 そこで、「出来る社員はちゃんとノルマを達成できている。非現実的なノルマを課しているわけではない。それを達成できないのはその個人の問題だ」と会社が言って来たら、どうでしょう?
 明らかに違法な、超ブラック企業ですよね?

 確かに、バイトを集められないのはオーナー自身にも問題があるでしょう。
 しかし、法定休日数休めるかどうかのレベルまで個人の運営力に左右されるのは、前提としておかしい。
 オーナーの能力には関係なく、最低でも一般の労働者と同じ法定休日数の休暇は確保されてこそ、まともな仕組みだと言えるのではないでしょうか?

 法定休日とまでいくと、元旦の話から少しズレたように思うかも知れませんが、本質的にはそこだと思うんですよね。

 何故なら、元旦休日の話が出る前提には、そもそもコンビニオーナーがちゃんと休めていないのが背景にあると思います。
 普段からしっかり休めていたら、元旦休業がここまでクローズアップされなかったと思います。
 元々休めていないからこそ、「元旦くらい休みたい」という話になったのだと思います。

 その点が、電力・ガスや鉄道といったインフラ事業者と、コンビニ・飲食といった小売店との違いでしょう。
 インフラ事業に勤める人もお盆・正月は休めませんが、コンビニほどの不満は噴出しません。
 その理由は、他でいくらでも休めるからです。

 もちろん中には、「休みたい」と思っている鉄道員だっていると思いますが、コンビニオーナーほど深刻な話には発展しないのは、そもそも普段から休みを消化できているからでしょう。

 オーナーに、休業日や営業時間の選択権を与えるのは、コンビニ事業者からすると大きなコスト・利益減になることは間違いありません。
 しかし、これはもはや、明らかなパラダイムシフトです。
 利益インパクトなく実施しようと思うこと自体が間違っています。
 原油高や、為替相場の変動と同じく、受け入れなければならないコストと思うべきなのです。

 営業時間を短縮した分を、他で取り返せる見込みがなければ実施しない、なんて考えるからおかしくなる。
 もちろん、例えばアルバイトの最低賃金が上昇したら、他のコストダウンで利益を確保しようというのは当然の意識ではありますが、コストダウンの見込みがないから最低賃金の上昇は受け入れません、というわけにはいきませんよね?

 それと同じで、働く人の法定休日数を確保することによって発生するコスト増は、受け入れなければならないコストなのです。

 
 
 

 


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