アンチ・アイドル論

 自分はたぶん、いわゆる「アンチ・アイドル」に属する人間だと思っていましたが、気がつくとアイドル関連の記事が結構ある(笑)

 正直、アイドルは好きではなくとも、アイドル論を語るのは結構好きです。
 それはやっぱり、自分がバンドをやっていて、音楽業界に興味があるからです。

 アンチ・アイドルには色んなタイプがいると思いますが、自分の場合、アイドルと距離を置く理由は結構はっきりしています。

 それは、ミュージシャンを目指していた人間にありがちな「僻み根性」(笑)

 僕の場合、幼少期はむしろアイドルが好きでした。
 当時のアイドルというと、松田聖子さんや中森明菜さん。
 これって単純に、歌が大好きでした。そもそも良曲が多い上に、歌のレベルも高い。好きにならないほうがおかしい。

 では、どこからアンチになったからというと、バンドをやりはじめてからです。
 
そもそもメジャーの土俵に上がれなかった人間が言うのもアレですが、2000年以降くらいから、インターネットの影響もあって、ミュージシャンのCDが売れなくなり、AKBグループが台頭してきたあたりから、オリコンのトップとかミリオンヒットと言えば、AKBばかりになっていくのを見ていて、微妙な心境になったんですよね(笑)

 特に自分のように、洋楽やジャズに傾倒したようなバンドマンの場合、アイドルどころか邦楽自体のアンチは周りにも結構結構いたように思います。
 これってアマチュアバンドマンにありがちで、洋楽にハマると、邦楽はダサイと言ってイキりたくなる時期ってのがあるんですよね(笑)

 とはいえ、同じアイドルでも、「嵐」とかは結構ちゃんと歌ってるので許せるし、「モーニング娘。」なんかが人気を上げてきた頃、「モーニングコーヒー」は純粋に良い歌だと思ったし、「LOVEマシーンは」めっちゃ面白いと思ったし、「ハッピーサマーウェディング」のPVもすごく楽しくて、面白いなこいつら、と思ったりしてました。

 けれど、もはや口パクを隠すことすらしないAKBや乃木坂といったグループは、同じ音楽シーンの範疇に含まれることに違和感しかないのです。
 それならまだ、素人丸出しの声で、音程が外れてても歌っていた1980年代のアイドルのほうがまだまし。
 歌をまともに歌わない秋元系アイドルのやっていることは、音楽じゃない。ただの「出し物」だ。
 僕にしてみればAKBや乃木坂は、断じて「アーティスト」ではない。

 そういう意味では、ハロプログループはまだ自分で歌ってるようなので、嫌いとまではいかないです。
 というか、音楽やってるなら当たり前のことなんですけどね。
 そうなると、あとは単純に音楽が良ければ興味が沸くし、そうでなければそれまでです。

 とはいえ、AKBらに対してアンチ的になるのは筋違いなのは分かっています。
 彼らもビジネスですから、支持するファンがいるからビジネスとして成り立ってるわけです。
 実際、それで社会現象レベルでの人気を得たわけですから、秋元康氏のビジネス手腕はすごいと認めざるを得ません。

 それでもやっぱり……ではありますね。

 誰とはいわないけど、秋元康氏が書いた詞を口パクで歌って踊ってるだけで、尾崎豊さんと同列かのように論じられたり、「表現者」とか言ってるのも、なんか滑稽に感じます。
 もちろん、ダンスだけでも立派なアートだし、詞や曲を書けなきゃだめ、というつもりはないけど、ただ踊るだけなら、普通のダンサーと何が違うの? と言いたいし、逆に、世間一般のダンサーは何も表現してないというのか?? と言いたくなる。
 プロットをゼロから考え、舞台の演出も振り付けも、全てを自分で考えて創り上げている人だってゴマンといる。
 そんな人らでも、いちいち表現者とか言わないのに……と思ったりしてしまうわけですよ。

 とはいえ、こんなの、押しつけなのは分かってます。
 
結局は売れたもん勝ち。
 独りよがりにこだわっても、売れなかったらただの駄作だし、
僕の「アイドル嫌い」なんて、ただの僻みなんですよね。

 ただ、ミュージシャン崩れには、同じような「アンチアイドル」が結構いそうな気がします。
 アンチ・アイドルの人って、ミュージシャン崩れとか、バンド系のファンが多いんじゃないかって思います……(笑)


 


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