カシオのMR-G

 僕は、日本の時計メーカーを応援していますが、その中でもカシオには個人的な思い入れがあります。
 それは、まだ自分が子供の頃に、両親が選んで買ってくれた時計がカシオだったことと、その時計が、二十年以上経った今でも、一度も修理などしていないにも関わらず、全く精度も衰えずに元気に動いているからです。(もちろん電池は何度か替えていますが)

 時計屋からはじまったセイコー、シチズンに対して、計算機屋から始まり、時計の原点である機械式時計を作る技術のないカシオは、時計マニアの間では一段低く見られる傾向にありますが、世界で最も名の知れている日本の時計メーカーはカシオと言われています。

 それはもちろん、「G-SHOCK」が世界中で売れているからです。
 G-SHOCKは、もともと日本ではあまり人気がなく、アメリカのテレビ番組で紹介されて人気になったという、少し変わった経歴の時計でした。
 そこに、1994年に公開され、世界的に大ヒットした映画「スピード」で、主演のキアヌ・リーブスがしていた時計がカシオのG-SHOCKで、しかもそれが本人の私物であったことから、世界中に爆発的なG-SHOCK人気に火をつけたと言われています。

 そんなカシオのG-SHOCKですが、カシオ推しの僕としては、一つくらい買おうとずっと思っていたのですが、なかなか買うまでには至りませんでした。
 何故かと言うと、格好良いG-SHOCKはどれもこれもデカ過ぎる(笑)
 僕は腕が細いので、あまりデカイ時計は不釣り合いなのです。
 小さめのG-SHOCKやBaby-Gもありますが、小さいのって、やっぱりどれも少し子供っぽい。
 アウトドアなどで使うならそれでも良いのですが、僕としては、仕事のジャケパンの時でもつけられるような、目立ち過ぎない、落ち着いたデザインのG-SHOCKがないものかと思っていました。
 あと、ケースやベルトに樹脂を使っているのも少し気に入らなかったのです。
 樹脂は、経年劣化したら直せないため、基本使い捨てになってしまうからです。
 キアヌ・リーブスがつけていた、俗に「スピードモデル」と言われるデザインの時計だと、悪くないのもあるのですが、そのミーハーな感じがちょっと嫌だったんですね。あまのじゃくなんで(笑)

 そこで、僕が「これだ!」と思って選んだG-SHOCKが、MR-Gというシリーズ。

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 G-SHOCKですが、なんとフルメタル!
 G-SHOCKと名乗れるレベルの耐衝撃構造をフルメタルで実現するのは、非常に高度な技術が必要で、研究に研究を重ねてついに実現した、カシオ独自の技術だそうです。
 サイズもお手頃なソーラー電波時計で、20気圧防水、風防はサファイアクリスタルで内面無反射!
 もう、完璧です。
 細かい部分では、二か国の時刻が同時表示され、その二か国目はデジタルで表示というのも、僕的にはナイスポイントです。
 それは、カシオは計算機メーカーだからこそ、ただのクオーツ時計ではなく、デジタルの技術も表現されている時計のほうが、セイコーでもシチズンでもない「カシオらしさ」の表現だと思ったからです。

 このMR-Gは、僕が求めていたスペックを全て満たしています。

 「ザラツ研磨」という、グランドセイコーなどと同じ技術で磨き上げられ、文字盤もとっても綺麗で、「MR-G」や「CASIO」の文字は立体文字です。インデックスの角も磨き上げられ、美しくキラキラと反射します。
 山形の工場で職人の手によって仕上げられた、正真正銘のmade in japanです。

 このMR-Gは、大人のためのG-SHOCKとして開発されたらしいですね。
 G-SHOCKは、そのデザインの性格もあって、子供っぽい時計と思われがちなので、スーツなどにも合う大人向けの時計として開発されたそうです。

 僕は、ある意味これって、世界最高の時計の一つじゃないかって思ってます。
 時計オタクな人たちは反発しそうですが、高級時計の代名詞的なロレックス、日本最高の時計といわれるグランドセイコーはもちろん、世界最高峰とされるパテック・フィリップに対しても、ひけを取らない時計だと思っています。

 何故なら、パテックはじめ、高級時計と言われる時計の主流は、今となっては時代遅れな技術である機械式時計ですが、世界中の時計好き達は、無駄な技術とは知りつつも、そうした工芸品としての技術の粋を突き詰めたゼンマイ式の時計にロマンを感じているわけでしょう。
 一方、G-SHOCKも、ぶっちゃけ、ここまでの耐久性なんて、戦場にでも行かない限り不要なスペックです。
 しかし、それを承知でカシオは、現実的な必要性とは関係なく、あえてフルメタルでの耐衝撃を研究し、コンセプトからデザインまで全てがカシオオリジナルの、唯一無二の高性能時計を作り上げたわけですから、その価値は、世界の高級機械式時計の物語性にもひけを取らないと思うわけです。(貴金属的な価値を除いて)

 時計屋に行ったら、是非、G-SHOCKのMR-Gをチェックしてみてください。
 ネットの画像やカタログでは、他のG-SHOCKと大して変わり映えしないように思うかも知れませんが、実物を見れば、G-SHOCKにこんな完成度の高い時計があったのかと、きっと驚くのではないか?と思います。

 頑張れカシオ。

 


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