コートは多少高いモノを

 コートは、それなりに良い物を買うことをお勧めします。

 僕は服にそんなにお金をかける趣味はありませんが、コートについてはそれなりに良い物を買います。
 
といっても、高給なブランドコートは十万円どころか二十万円超えというレベルになるので、そこまでの高級志向ではなく、あくまで庶民レベルでの「良い物」です。

 例えば、僕はJ-PRESSのバルマカーンコートを一つ持っていますが、素晴らしく満足のいくクオリティです。
 J-PRESSはアメリカのアイビースタイルのブランドとして有名ですが、現在はオンワードが日本での営業権を完全に買い取り、日本人向けの商品を作っています。
 アイビー世代の人にとっては「J-PRESS」と言えば人気ブランドの一つですが、僕はそんな世代ではないので、J-PRESSのブランドが欲しくて買ったわけでもありません。
 
ただ、たまたま選んだコートがJ-PRESSで、それがすごく良かったという話です。

 僕はそのコートを買うまで、ずっと安いコートを買っていました。
 しかし、安いコートって、なんかすぐダメになる…
 
そんなに雑に扱った覚えはないのに、気が付くと変なところがほつれてきたり。
 ボタンがポロポロ取れたり。
 まさに縫製がしょぼい安物服…
 
安物だけに、わざわざお金をかけて補修をしようとも思いづらく、結局コートを買い替えるハメに。
 そんなことを、毎年のように繰り返していました。

 結局、典型的な安物買いの銭失いだったわけですよ。

 そして何より、安物はあまり暖かくない!
 
コートが暖かいことは絶対条件ですが、良いコートを着たことがなかったからわからなかったんですよね。

 安いものには、それなりの理由があります。
 まず、生地がペラい。
 見た目はしっかりしてそうに見えても、生地が貧弱なので寒い。
 安いメルトンなんかはたいがい化繊混なので、ゴワゴワして着心地も悪い。
 それに僕は細身なので、ゴワっとしたメルトンは
似合わなすぎて着れないのです。

 そこで、何となく買ったのがJ-PRESSのコートでした。
 ウール92%・カシミア8%混、裏地はキュプラで、確か5万円台でした。
 
コートで5万円は、決して高い方ではないけれど、そもそも服にお金をかけない人からしたら、結構な金額でしょう。
 
当時の僕としても、一着の服の購入額としては最高額でした。

 けれど、着用して外を歩いて感動!!
 
真冬の外で、冷たい風が吹きつけても、全然冷気を感じない。
 
それまでに着てきた安物のコートとは別次元の暖かさでした。

 ただ、これは「5万円のコート」の威力というより、J-PRESSの、つまりオンワードの品質の力もあると思います。
 同じ
コートを連続で着ると生地が傷みやすいので、何着かのコートを着回しているのですが、某セレショで買った、ウール90%・カシミア10%の五万円のチェスターコートは、J-PRESSよりも少し生地が薄く、防寒性は劣りました。
 作りはちゃんとしていてデザインも素敵なので、お気に入りの一着ではありますが、実用性においてはJ-PRESSのほうが上でした。
 これはおそらく、今の日本で売られているJ-PRESSは実質的にオンワードのブランドといっても過言ではないので、ブランド料が乗せされず、海外ブランドものの割にはリーズナブルなのではないかと思います。

 ちなみに、僕がそのコートを5万円台で買ったのは何年も前の話で、現在は同じデザインのものが6万円以上します。
 近年
、総じてアパレルの製造原価が上っているので、仕方がないことなのでしょう。
 また、それもカシミア比率が10%に増えていて、それはおそらくカシミア比率を上げたから値上げをしたのではなく、値上げをするためにカシミア比率を2桁にして品質の印象アップを図ったのではないかと思います。

 そんなわけで、色々なコートを見て、着たりした経験からすると、デザイン性と実用性の両面を考えるならコートは5〜6万円くらいが一つの金額的なラインのように思います。
 2万円までだと、品質もデザインも微妙なものが多く、特にZARAのようにデザイン特化型の店で買うと、品質はほとんど諦めた方が良いでしょう。
 3万円くらいまでは、品質重視だとデザインはしょぼくなり、デザインを重視すると品質は落ちる。
 
5〜6万円あたりからデザインと質の両方が良いものが出てくる感じがします。

 ただ、カシミア混は少し注意が必要かもしれません。
 カシミアにもグレードがあり、上質なカシミアを100%を使ったコートは10万円でも買えるはずがないと言われています。
 本来カシミアは暖かい素材ですが、ウールに比べて高価過ぎるため、カシミアが入ると生地がペラくなったり、酷いものだと、これ本当にカシミア入ってんの? と思うくらいカシミア感が乏しかったりします。
 10万円以下のレベルのコートを同価格で比較すると、カシミア混は、防寒性においてウール100%のものより下がってしまうように感じます。

 むしろ、ウール100%でも上質なウールだと、カシミアが入っているかのように生地の質感も手触りも良いです。
 僕が所持しているEDIFICEのロロピアーナの生地のウール100%コートは、めちゃくちゃ着心地良く、暖かく、質感も上質なため、知人からはカシミアのコート? と聞かれたりします。

 そんなわけで僕は、コートを買うなら、思い切ってウールメインで6万円くらいのコートを買うことをお勧めします。それも、日本のメーカーの。

 オンワードは色々なブランドを展開していて、安価なラインは中国製だと思いますが、ネットの評判を見ていても品質はちゃんとしているように思います。
 J-PRESSも、元はアメリカのブランドとはいえオンワードが営業権を買い取っているので、日本のブランドを買うのと同じような気持ちで買って良いと思います。

 高品質なものを、妥当な価格で販売されているのなら、日本人としてはやはり日本のメーカーのものを買うべきだと思います。
 
わざわざ外国のブランドの割高な買い物をする必要はありません。 
 

 


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