日本を活性化させるには 2021年〜
 

 少子高齢化、労働力の不足、地方都市の衰退、食料自給率の低下…

 こうした、今の日本が「衰退してる」と感じる問題を解決するには、

  @公共交通機関による遠距離移動の大幅値下げ
  A中高年者の第一次産業就労促進

 をすることではないかと思います。

 まず、日本は首都圏への一極集中化が進み、地方都市が衰退してるのは言うまでもありません。
 けれど、インターネットがこれほどまでに進み、コロナによって在宅勤務が当たり前になってきた今となっては、地方に住んでいても十分経済は回せるように思う。

 首都圏に集中する理由はいろいろあるが、障害となる最大の本質って、なんやかんやいって「都会への憧れ」ではないかと思う。

 もちろん、地方には仕事がないとか、業務効率が良いといった理由もあるでしょう。
 自分の場合飲食業にいるので、地方から出稼ぎにきていたり、首都圏の大学にわざわざ進学してくる学生を多数見てきましたが、東京に憧れて出てきたというより、地方は仕事が本当に限られていているので、先のことを考えて都会に出てきた人は確かに多かった。

 けれど、そうした就職問題は、今となっては卵が先か鶏が先か、というように感じます。
 コロナ前の環境では、何やかんや言って会社に出社し、対面で物事を進めるのが当たり前でしたが、コロナを経た今では、もうその前提が変わったように思います。

 新人教育は、いきなりリモートとなるとさすがに難しいところがあると思いますが、若い新入社員は集めて、教育期間だけ安い寮やアパートにでも住ませればいい。
 ある程度自立したら、リモートでどこに住んでいてもいいように思う。

 地方といっても、難しい地域もあります。
 ですが、まずは関東圏でいえば、例えば静岡の三島のあたりとか、関東圏では鄙びたところですが、新幹線なら横浜までまっすぐ1時間程度。
 
八王子あたりから東京都市部のオフィスに出勤するのと変わらないどころかむしろ早い。
 新幹線なら、座ってゆったりパソコン開くこともできる。
 なので実際、三島から首都圏に通勤している人は少なくなく、三島あたりは首都圏勤務者のベッドタウンという側面をすでに持っています。

 ただそこで問題になるのは、移動にかかる交通費です。
 三島〜横浜の新幹線定期代は、3か月定期でも20万円以上します。
 それをポンとOKできる企業は限られているでしょう。

 国として遠距離交通費格安にしようといって、それをJRに一方的に背負わせるのは無理がある。
 だからもはや、一定条件の遠距離移動は、国が支援していいんじゃないかと思う。

 そうしてまず、首都圏と近隣地域でのビジネススタイルが確立すれば、さらに地方でのやり方も見えてくると思う。
 そもそも地方住人が増えれば、その地方都市の経済状況自体が変化する。
 地価も安いし、住居費や子育てにかかる費用は首都圏に比べれば圧倒的に安く、生活上の負担も少ない。

 もちろん、業種・職種によっては、こうしたビジネススタイルは適合しないと思いますが、可能な業種・職種はたくさんあるように思う。

 そうやって物理的障害がなくなれば、残るのは「都会への憧れ」意識だけになる、ということです。

 しかしこれも、長距離移動の交通費が免除され、国が補助金を出して安く定期を取得できたら、いつでも気軽に街にいくことができるようになります。
 
そうなれば、都会への憧れなんて自然に解消されるように思います。

 これだけインターネットが進んだ今となっては、情報を得たり、感じるには、地方にいようとも可能で、そこに住んで毎日触れてないといけない、という欲求は低いと思う。

 そもそも、移動交通費さえ安ければ、地方に行ってみたい、住んでみたいという人は沢山いると思う。
 日本全体の経済をバランスよく活性化するには、公共交通機関での移動交通費の負担をいかに下げるかは、かなりのポイントのように思います。

 そして次に、中高年の一次産業就労支援ですが、これはもう今すぐにでもやったほうがいいと思います。

 俗に「就職氷河期世代」と呼ばれる第二次ベビーブーム世代は、40代後半に差し掛かっています。
 また、コロナによる景気悪化で、それより上の世代が、多くの企業で次々とリストラされています。

 その年齢で景気が悪いとなると、再就職なんて難しいのは言うまでもありません。

 ですが、こんなご時世でも人手不足で、かつ重要性の高い業界となると、間違いなく農業や漁業といった一次産業です。

 欧米や中国ににおいて、経済的に伸びている国の農業や漁業は必ずしも衰退していません。
 ドイツ、フランスなどでは若干低下しているそうですが、それでも日本に比べれば全然強く、世界的に見て日本の一次産業の衰退っぷりは飛びぬけているようです。カナダや中国は上向いているとか。

 日本は、戦後に良くも悪くも階級社会がなくなり、高度成長とともに、「一億総中流」といって、誰もかれもが中流意識を持つようになりました。
 それ自体はいいとしても、猫も嫡子も「ホワイトカラーこそ勝ち組」、みたいな空気になってしまったのが、日本をおかしくした原因だと思うのです。

 これは、画一的教育や、ステレオタイプ的な行動を好む、日本人的な気質のせいかもしれません。
 成功者の標準的な型決めを求め、それから逸脱するのは異端となり、それで所得も高くないとなれば完全に「負け組」扱い。

 まあ、過去をとやかくいってもどうにもならないので、物理的に「今」を解決しようとするなら、あぶれている労働力を、不足している業界に充てていくのは必要なことだと思う。

 就職氷河期世代の支援として、公務員の募集をかけているところもありますが、あれは救済策としては悪くないですが、日本の国力を上げる取り組みにはならないと思います。
 その分、新卒の採用を大幅に減らし、優秀な人材は民間で活躍してもらうよう仕向けるのなら良いと思いますが、まあ、そうはならないでしょうね。

 日本の一次産業の高齢化はかなりのもので、60歳オーバーが当たり前レベルです。
 そんな中なら、40代なんて十分若手。50代でもいける。
 肉体労働と思うかもしれないけれど、一次産業は、国の基盤を成す、非常に重要な産業なはずです。
 バブル期の日本がおかしな幻想生み出したせいで人気がなくなったに過ぎないと思うのです。

 もっとも、日本の農家は零細的な小作が多く、大変なわりに見合った稼ぎが得られない、という問題もありました。
 だから、既存の豪農なんてほっておいて、土地を持たずとも、これから一次産業を目指そうとする人々に対して、手厚く支援するのです。
 それこそ、土地を国が買い上げて安く貸したり、一定期間を経過したら、安く
買い取れるくらいにして。

 また、そうした時に、先に書いた、遠距離の公共交通機関の利用を格安にする策も有効に機能すると思うのです。

 人間誰しもプライドがあるもので、会社をリストラされて、人生路頭に迷う手前になったとしても、人里離れた田舎でひっそりと肉体労働に転じてるなんて、なかなか踏み込めないんじゃないかと思います。
 だからこそ、いつでも都会の空気を吸いに行ける、となれば、都落ち感も薄く、その上で長く働けば家も土地も自分のものにな
るとなれば、やりがいもあり、負け組感なんてなくなるのではないでしょうか。

 そもそも、定年後は田舎暮らししたり畑仕事をしたい、という人って少なくありません。
 それが意味するとことは、一次産業の仕事そのものは、実は魅力的なものなんだということです。
 ただ、日本ではバブル期に、都会でエリートチックにサラリーマンをするのが勝ち組、みたいな幻想を生んでしまったことがおかしくしたんだけじゃないかと思います。

 仕事を定年であがって、自分から畑仕事をするのなら格好がつくけど、会社をリストラされて畑仕事にするのは嫌だ、となるのは、単に精神的な問題だと思います。

 そもそも、上に上がっていく社会構造は、ピラミッド型にならざるを得ず、こぼれていく人の「受け皿」が必要なのです。
 いかなる組織においても、
全員が同一組織内で勝ち組になることはできません。

 良いか悪いか別にして、政治や官僚の世界では、それが「天下り」の仕組みです。
 官僚組織もピラミッド型なので、全員が出世できません。
 課長まではなれたとしても、その上は狭き門。ポスト争いに負ければ、どこかに出ていかなければならないし、上まで上り詰めても、一定期間で次に譲らないといけないので、退いた先の受け皿が必要になる。

 製造業を中心に成長してきた高度成長期の日本は、低い階層の仕事を「後進国」に押し付けることで、日本人全体が上に立つことを可能にしていたのだと思います。
 1960年代くらいまでは、多くの日本人が一次産業や手工業に
従事していました。手工業では繊維業界などはその最たる例ですね。かつて繊維業界は、日本の主要産業でした。
 それが、日本の企業戦士はみなホワイトカラーのエリートになり、女性は専業主婦に転じ、単純労働はどんどん後進国の安い労働力に移し、日本人全体が生産の仕事から遠ざかり、食糧生産を他国の労働力に丸投げするようになった結果が今です。

 しかし、かつて後進国だと思っていた国が強くなり、人件費も上がり、立場が対等、むしろ逆転しつつあるのが現状です。
 今となっては、それをひっくり返そうとしても無理な話です。
 となれば、新たな後進国を求め、自分たちが上に立とうとするやり方はもう捨てて、日本の中だけでも、一次産業、二次産業と、きちんと自立できる形に再構築しなおす時期が来ているのではないかと思います。

 

 


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