日本人は、海外ブランドにめっぽう弱い。
日本製を応援する
たぶんこの根底にあるのは、明治維新にはじまる、日本人の欧米文化へのコンプレックスだと思います。そして、バブル期のブランドブームによって、有名ブランドを持っている=成功者=カッコイイ、有名ブランドを持っていない=カッコワルイという風潮が生まれました。
それが、バブル崩壊して三十年近く経った今でも、「欧米ブランドものはカッコイイ」という感性が、もはや日本人の基本的価値観かのようにしぶとく残っています。バブル時代に、ママ友の間で「自分だけブランドバッグを持ってないと恥ずかしい」といって、旦那にブランド製品をねだるというような話がありましたが、今でも街を歩いていたり買い物をしていると、ヴィトンやコーチのような、あからさまにブランド名が見えているバッグや財布を持っている女性を多く見かけることが、今でもそうした感性の名残を感じさせます。
ですが、日本人ならばやはり、日本製品を応援すべきではないでしょうか??
その最大の理由は、ただでさえ日本の景気が上向かない中、日本人が外国の企業に積極的にお金を落としてどうするんだ!?
と思うからです。そして、もう一つの理由は、欧米のブランドなんかに目を向けなくても、日本製のモノの中には、世界でもトップクラスの品質を持っているものが実は多いからです。
だいいち、かつては"Made in japan"と言えば世界最高の品質の証とされたくらい、日本のモノ作りは世界的に評価され、日本製の車や電化製品は世界中で評価されていました。
そして今日でも、服や靴、時計から生活雑貨、楽器など、世界的に見ても優れた技術を持つ分野が沢山あります。しかし、残念なことに、技術力の高さの割に、特にファッション系のブランドは、日本よりも欧米ブランドもののほうが、圧倒的に人気が高いです。
例えば「ブランドバッグ」といえば、誰もがエルメスやヴィトンといった海外のブランドの名前がまず浮かび、GANZO(レディースならepoi)や土屋鞄、吉田カバンなどを最初に答える人は、マニアな人だと思います。
でも、日本のファッションブランドだって、海外製に劣らない品質のものが数多くあります。
革製品なら先に名を挙げたGANZOや土屋鞄はもちろん、吉田カバンやキプリス、万双など、素晴らしい技術を持ったメーカーは沢山あるし、靴ならスコッチグレイン、リーガルは昔から高品質かつリーズナブルで知られてるし、三陽山長の高級靴はイギリスの高級靴にも引けを取りません。
時計ならセイコー、シチズンの技術は世界のトップレベルだし、アパレルだって、日本の縫製技術は世界でも最高水準だし、洋物ブランドにかぶれなくとも、素晴らしいクオリティのものが日本国内にたくさんあります。特に、海外製品は関税などで高くなるため、同価格であれば日本製の方が品質は圧倒的に上です。
それなのに、海外ブランドに目移りしてしまう日本人の多いこと……だいたい、関税を抜きにしても、ヨーロッパのブランド品は高すぎる。
ヨーロッパにおける高級ブランドというのは、日本のように誰もかれもが手を出す物ではなく、上流階級のためのものだから、そもそも値付けの考え方が違うのです。
しかし、それにしてもエルメスの利益率が40%とか、羨ましぼったくりにもほどがある。ただ、日本のメーカーにも反省すべき点が多いと思います。
海外ブランドの人気が高いのは、ブランド信仰のような思い込みだけが理由ではなく、日本のものはデザインが地味なことが多いからでしょう。
ファッション用品はやはり見てくれも重要で、ある意味「質より見た目」くらいの場合もあるので、どんなに質が高くても、見た目がダサかったら話になりません。
しかし、日本製のものって、微妙に垢抜けない感じがするのは、ファッションに限らず、車など日本製品全てに言える特徴だと思います。
良く言えば、「見た目より中身」「質実剛健」「シンプル・イズ・ベスト」といった形容詞をあてはめられますが、デザイン性に関しては、欧米モノの方が高いことが多いです。
例えば腕時計は、日本の技術は世界でもトップレベルですが、デザイン性となると、スイスやドイツのほうが圧倒的に良い。
日本の機械式時計の雄といえばセイコーですが、セイコーの時計は、どうも地味というか、デザインが渋すぎて、あまり好きじゃありません。
時計オタクに言わせると、あの渋さがいいみたいなのですが、あのわざとダサくしてるとしか思えない絶妙なイモ臭さが、お洒落に敏感な層にはウケが悪い。日本製の時計なら、セイコーよりシチズンのほうが、色気のある時計を作っていると思います。
特に、シチズンのカンパノラはとっても素敵ですね。
……ただ、日本製のくせに、何故あんなにデカいデザインにしたのか!?
40mmくらいで作ってくれたら買うのに。
こうした、バランスの悪いところも疑問に感じます。
※2019年11月に、待望のミドルサイズ(39mm〜41mm)が発売されました!! というわけで買いました(笑)デザインの違いでは車なんかもよく言われますよね。
実際、日本車と外車ってデザインの路線が根本的に違うし、明らかに外車には独特の色気があります。日本人にはそんな感性がない、というわけじゃあない。
奥山清行さんのように、フェラーリやマセラティのデザインをする凄い日本人だっています。結局、企業のスタンスというか、方向性の問題だと思うのです。
日本のモノが世界中で売れるのが一番ですが、まずは日本人自身が日本人として、日本経済の発展に協力するという意味でも、日本製をもっと応援すべき、とも思うのです。
海外のぼったくりブランド品に大金を落とす余裕があるのなら、そのお金を日本に落として欲しいとせつに思うし、何より利益率の高いアパレルなどの高級ラインのシェアを、外国の企業に取られるのは非常に残念に思うわけです。
そういう意味で、ある意味評価したいブランドがサマンサタバサですね。
「いやいや、そのチョイスはおかしくね?」と思われる方もいるかも知れません。サマンサタバサは、本当のお洒落好きからは評価が低いブランドです。
はっきりいって、品質も微妙です。というか、むしろ値段のわりにはよろしくない。
デザインも、プラダやエルメスといった有名ブランドのデザインを恥ずかしげもなくパクって手直して売ると言う、およそファッション道の王道を歩く人からは嫌われるメーカーです。何故そんなブランドを僕が評価しているのか? というと、何はともあれ日本の会社であること!
たとえそれが価値のわからない情弱者であっても、宣伝に踊らされているだけであっても、安易に外国の企業にお金を落とすことを未然に防ぎ、日本経済の循環に役立ってくれているのなら、そこを評価したいわけです。
あの品質をあの値段でやっていけるんだから、相当商売上手ですよ。
「商売のやり方」として、日本のメーカーの多くが見習うべき点がある…(いや、あった?)と思います。もっとも、製造は中国とかなので、本当の意味で日本のモノというわけではないのですが、完全な外国ブランドにお金を落とすよりはマシという意味で。
ただ、もうちょっと価格と品質が一致した商品を作ったり、デザインのオリジナリティ含めて本当に良い商品もラインナップし、そこを軸足にして宣伝すれば、もっと良いブランドになる可能性があるのに、そこまでの思想がないことが残念です。日本のメーカーには、もっと色気のあるデザインを攻めて欲しいと思うとともに、消費者も、海外ブランドの名前なんかに踊らされてお金を落とさず、日本の製品にお金を使って欲しいと思う今日この頃です。