これからの時代のミュージシャン

 コロナ自粛のせいで、アーティストがどうしようもないくらいに活動を制限されています。
 これは大変なことですが、そんな中で、先日なかなか面白い体験をしました。

 活動ができない中でも、多くのアーティストがYoutubeやインスタで歌を配信したりしていますが、先日たまたま、鈴木愛理さんという歌手の生配信をタイムリーに観て、全くの予想外(失礼)に感動しました。

 もともと4/21にライブを予定していたのがコロナで中止になり、チケットの払い戻しにまでなってしまっていたところ、その本来ライブをする予定だった時間に、自分の過去のライブ動画をYoutubeで生配信するという企画でした。

 他の記事で書いていますが、僕は鈴木さんのファンというほどでもないため、事前にチェックしていたわけではありません。
 ですが、僕自身もコロナ自粛で仕事が激減し、その日も休みだったので家でネットを漁っていたところその情報を発見し、僕がアクセスした時は、Youtube配信をする直前に鈴木さんがインスタライブをしている途中でした。

 ……というか、インスタライブ自体を見るのが、その時が生まれて初めてでした(笑)

 で、インスタライブが終わって間もなくYoutubeの配信時間となり、Youtubeを開いて待っていたわけですが…

 すごいですね。
 本当に、開演前みたいな気持ちになりました。
 過去のライブ映像とはいえ、僕は観るのが初めてなのもあって、余計に気持ちが高まるんですよ!
 
で、配信がはじまると、右側でものすごい勢いでタイムラインが流れていくのですが、それがまた臨場感を煽る……!
 コメントに共感したりして、気持ちが高まって、
ほんと、曲が終わるごとに思わずとか拍手しちゃいましたよ。

 全部見終った後に鈴木さんのtwitterを見ると、配信中もツイートしてたようです。
 それも見てたらもっと臨場感あったかも。残念。

 で、鈴木さん自身も、一体感を感じましたと呟かれていましたが、ほんとそれ!

 正直、観る前までは、ネット配信、しかも過去のライブ動画なんかで、そんな「ライブ感」なんて生まれるわけがないと思ってました。
 なめてました。ホントすみません。

 でも、これからのアーティスト活動って、もしかするとこういうのが当たり前になっていくのかも知れない。
 というか、こういうやり方をどんどん発展させた方がいいのかも知れない、と思いました。

 ライブができないのはコロナという特殊な環境下だから、コロナが終息すれば、また普通にライブ活動が再開して、こんなはことしなくて良くなるのかも知れない。
 それに、やっぱり人と人が向き合った、生演奏でしかない空間や盛り上がりってのはあるので、それ自体はなくならないし、あり続けてほしいことだと思う。

 でも、それはそれとして、こうしたネット配信が、当たり前になっていってもいいんじゃないか?
 と思いました。

 というのも、それこそネット時代になってから、CDやDVDが売れなくなり、音楽業界は稼ぎにくくなってしまいました。
 ネット配信は以前からありましたが、収益性はなかなか上がりませんでした。

 ……けれど、もっと割り切って、生配信でも本気で楽しめる方法を、とことん突き詰めていくチャンスなのかも知れない、とも思ったのです。

 大きなハコを埋められるアーティストは幸せです。
 小さなライブハウスですら、チケットを売るのに苦労している人もいるでしょう。
 僕自身も大学時代にバンドを組んでいたからわかります。

 いずれにしても、会場をおさえ、設備を用意して、スタッフを手配する、そしてそれらの準備含めて、単独ライブをするというのは大変なことです。

 でも、ネットの生配信なら……?
 
そのへんの街のスタジオや、音を出せる公民館のようなところでだって可能です。

 現時点では、Youtubeで配信したって、そもそも人気があって、チャンネル登録数とかなければ、なかなか収益にはなりません。
 
けれど、音楽業界がプラットフォームを作り上げて、例えば生配信を観るのに100円、とかにしたら……?

 過去動画ではだめかも知れませんが、生ライブや、新曲の披露とかになったら、払ってでも観る人は沢山いるんじゃないかと思います。
 生配信の工夫もあがって、アーティストが大きなスクリーンでタイムラインを見ながらMCをしたり、演奏中でもそれに反応したりしたら、また新しい風景が生まれるかもしれません。

 だいたい、ライブを見にいくのって、好きな人はともかく、そうでない人にはハードルが高いです。
 時間的なものもあるし、手間的なものもあるし、金銭的なものもあるし、それこそ鈴木愛理さんのようなアイドル的な人の場合、心理的ハードルがある人もいるでしょう(笑)

 でも、ネットの生配信なら、すごい気軽です。
 入り口となる、専用のホームページなんかを作って、まずはそこで興味を持ってもらえるよう自分たちをアピールしたりして。
 
また駆け出しのアーティストなら、100円、いや、無料からスタートかもしれない。
 でも、人気がでてきたら、500円、1,000円くらいいけるかも?

 1,000円で1,000人に視聴者を集められたら、百万円!
 けど、ライブハウスで1,000人分のチケットを売るのは、大変なことです。
 それに、それだけのことをしようとすると、結構な費用もかかります。
 けれど、無観客前提なら、小さなスタジオとかで、めちゃくちゃ安上がりで実施できます。

 ストリートライブとか大道芸みたいな感覚ですね。
 そういうのをウェブで気軽に参加できるってのが、これからのアーティストの発信の形になっていくかも知れない。
 僕だって演奏者として参加するかも(笑)

 視聴側も、一万円は払わないかも知れないけど、大好きなアーティストなら1,000円くらい払うのでは?
 小田和正さんの「クリスマスの約束」みたいのだったら、2,000円でもついポチっちゃうかも。
 いや、コロナが終息して、友達を呼んで一緒にとかだったら、3,000円、いや4,000円をワリカンとかでも観るかも。

 僕が鈴木愛理さんのライブチケットを買って観に行こう、となるまでは、たぶん相当ハードル高い……というか、一生ない気がするけど、有料生配信だったら払っちゃうかも。

 とにかく、工夫次第で、すごく安上がり(?)に、面白いコンテンツを作れる可能性がたくさんあるように思う。

 ……それは、音楽だけじゃなくて、舞台とかでも。

 そうそう、今日、鈴木愛理さんは、作詞をインスタライブで、視聴者とコメントで意見をもらいながら作るっていうのをやってた。
 これって、すごい画期的だと思った。(他にやってる人がいるのを知らないだけ?)
 これからのアーティストって、こういう活動は全然ありだと思う。
 SNSの時代だからこそ、人ともっと近くに繋がりながら、想いを共有しながら、作品を作っていく。
 こういうやり方だと、何万人とか、そういう動員の仕方にはならないかも知れない。
 でも、それでいいんじゃないか? とも思う。

 お笑い芸人の陣内智則さんも、コントネタを募集して、そこからネタを作るという動画をアップしていた。
 これが発展していったら、生配信で大喜利みたいなのもあるかもね。

 今までのような、どちらかというと一方通行的なものじゃなく、コロナを機に、従来の価値観を変え、本当に気心のわかりあえる、フィーリングが一致する人たちと、言葉を交わしながら時間と空間を共有していくことを大事にしていく。
 そういう活動にシフトしていくのがこれからの時代なのかもしれない。

 まあ、変な話、ウェブベースだと大掛かりな設備とか大人数のスタッフ費とかがかからないから、まとめて大人数集めなくていい気がする。

 もう、根底からやり方も、手法も、収益構造も考え直していく。

 これは、音楽業界のニューノーマルじゃないかと思う。
 とりあえず、音楽の新しい楽しみ方を教えてくれた鈴木愛理さん、ありがとうございます。

 

 


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