犯罪者の出版について

 神戸の連続殺人犯が、当時のことを出版した『絶歌』という本を出し、それがベストセラーになったことに対して、世間から激しい批判が出ました。
 そして、
当人の顔や個人情報を晒す動きが出てきて、それが正しいのか、悪いのか、議論まで巻き起こっているようです。

 このことで思ったのは、個人情報を晒すのは、間違っていると思います。
 いかに犯罪者だろうとも、刑期を終えれば一般人と同じように扱うべきだし、それが良識ある法治国家のあり方だと思います。

 しかし、元犯罪者が、自分の犯罪経験を材料に利潤を得る行為をすることがまかり通るのは、倫理的におかしい。
 ましてや、懺悔と後悔ではなく、ナルシズムに満ちたホームページを立ち上げたり本を出版するのは、認めてはならないことだと思います。
 この本の出版を決めた、幻冬舎社長の見城徹氏のインタビューに記事によると、最初の原稿には贖罪意識が見られなかったため、全てを書き直させたというが……
いや、その時点で中止しろよ!

 書き直させてようやく贖罪意識を書いたとなれば、本人にその意識がない、ということだ。

 これってつまり、更生してないってことではないでしょうか?
 刑期は終えたけれども、更生してないのであれば、むしろもう一度服役させるべきではないか?
 というより、出所させる判断が間違っていた、ということではないのでしょうか??

 刑の目的は、罰を与えることが本質ではなく、その罰によって、反省させ、更生させることではないのでしょうか?
 
だから、本人に反省の色がないのであれば、「問題あり」として、何年でもムショにぶちこんでおいて社会に戻すできではないし、重大な犯罪ならばなおのことではないでしょうか。

 今回の件は、法的には真人間になったと判断されていても、実態としてはそうは思えない。
 だから、個人情報を晒すといった「私刑」的な行為に走る人が出てくるし、それを肯定する人が出てきてしまうのでしょう。

 この矛盾を解消するには、「更生した」という判断を、再審議することしかありません。
 
でも、日本の法には、そうした制度はありません。
 再犯に及べばもちろん逮捕されますが、再犯しそうだからといって再逮捕することは出来ません。

 しかしながら、そもそも、この本の出版をしようとした企画者および、出版社が、人外のクズだと思います。
 買って印税協力する人間もしかり。

 アメリカには「サムの息子法」という、犯罪者が自分の犯罪経験を出版物などにして利潤を得るといった行為を禁止する法律があるそうです。
 日本でも作るべきだと思います。

 それに、いくら「表現の自由」でも、犯罪行為を正当化するような出版物は、公序良俗に反する、反社会的造作物ではないのか??
 人道に反する行為を、婉曲にでも肯定するものは、取り締まっても良いのではなかろうか。
 ましてや、それによって利潤を得られるなんて倫理的にもおかしい。

 ただ一方で、印税は巨額の賠償金に充てられているという話しもあるが、印税額なんてわからないので、どれだけ懐に入れたってわからない。
 そもそも、遺族に事前の説明もなく出版した時点で、動機があやしい。

 いずれにせよ、出版社と印税協力する人間がいなければこんな話にはなっていないはずなんです。
 全く理解できないし、腹立たしい限りです。
 
 

 


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