スピッツ

 僕はスピッツが結構好きです。
 最初に
存在を知ったのは、カラオケから。
 
周りが「ロビンソン」とか「涙がキラリ」とか歌いまくるから、先にカラオケでメロディーを覚えてしまって、その時点でなかなか良い曲だなあと思っていましたが、本人の歌を聴いて完全に虜に。

 ポップでキャッチー、歌い方にアクがなくて中性的で、万人受けするJ-POPの王道って感じですね。

 でも、旋律や声もいいけど、詞がまたいいんだコレが。

 個人的に印象深いのが「君が思い出になる前に」。
 
初期の曲で、スピッツのはじめてのヒット曲だそうですが、僕が大学を卒業して社会人になり、郷里から遠く離れ、最愛の彼女とも別れた時にものすごく聴きまくった歌。(すでに発表して何年も経っていましたが)

 もう、どの部分とか言えない。
 
ほんと詞の全部。

 別れの歌としては非現実なまでに綺麗すぎる詞かも知れませんが、その時の僕には真芯にヒットした。
 
当時付き合っていた彼女が、本当に素敵で素晴らしい人で、別れた時はどうしようもないくらい辛かったけど、お互いがお互いの幸せを本気で願いながら別れたから、この綺麗な詞が、どうしようもないくらい心に沁みました。

 正直、別れた直後って、世の中真っ暗みたいになって歌なんて聴く気にもなれませんでしたけど、時間とともに、それこそ、まだ思い出になってしまう前に、お互いにとって最良別れ方ができたのかな、と思えた時、この歌を知って、それからずっと繰り返し繰り返し聴きました。

 今でもこの歌を聴くと、当時の感傷が蘇ってきます。

 決して、引き裂かれた二人ではなく、別れるべくして別れた二人。
 
だけど、二人で過ごし、幸せを共有した時間は確かにあった。
 
愛しい気持ちは変わらないけれど、歩く道が違うことに気付いてしまった。

 そんなことを、幻想的な言葉に換えて歌にする草野マサムネさん。
 
天才過ぎる!

 スピッツといえば、ほとんどの方がリリカルでライトな音楽をイメージされると思いますが、有名になる前のマサムネさんが目指していたのは、バリバリのパンクで、ブルーハーツみたいな路線だったそうです。

 でも、全くうまくいかなかったそうな(笑)

 それで、よりウケやすいポップな路線を意識した「恋のうた」という曲を作り、それが今の路線に原点になったそうですが、その時はそれでも売れなかった。
 で、仕方なしに、とにかく商業的に成立させるために、
売れることだけを意識してマサムネさんがリリースしたシングルが、「裸のままで」という歌だそうです。

 マサムネさんは詞にはこだわりがあって、「愛」とか「好き」だとか、そういう言葉を使うとチープになるから、そういう直接的な単語はあまり使わないのをポリシーにしていたそうですが、そのポリシーも捨てて、わかりやすく、ただ「売れる」ことだけを考えた曲。
 それだけ
妥協した代わりに、「この曲ならミリオンも狙える」と思っていたマサムネさんだったのですが…

 売れなかった(笑)

 その時マサムネさんは本気でショックを受けたらしく、スランプに陥ったそうです。
 
そりゃそうですよね。
 
「これなら売れる」と確信して作った曲が売れなかったら、誰だって自信なくしますよ。

 でも、それを収録したアルバム「Crispy!」に入っていた「君が思い出になる前に」が注目されたので、改めてシングルカットしてリリースすると、スピッツ結成以来はじめてオリコンチャートにランクインするヒット曲になりました。

 それで何とかモチベーションを繋ぎ止め、その後「ロビンソン」で大ブレイクし、現在のスピッツの路線が確立します。
 ただ、マサムネさん的には、ロビンソンはそんなに売れる曲だとは思わなかったらしく、なんでこの曲がこんなにウケてるのかピンとこなかったそうです(笑)

 面白いですよね。
 
マサムネさんは間違いなくJ-POP界屈指の天才の一人ですが、そんな天才でも、売れるとか売れないとか、そういう判断は自分ではできなかったわけですから。

 もともとパンクを目指していただけに、スピッツの曲を色々聴いていると意外と変な曲も多いので、スピッツのことをキャッチーな曲のバンドだと思っている人は、ぜひ色々聴いてみてください。
 新しい魅力を発見するかも知れません。

 これからも、心に沁みる歌を作り・聴かせ続けてほしいですね。


 

 


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