「ありがとう」を言うべきか?

 ネットのニュースで、

「レジ後のコンビニの店員に「ありがとう」を言うべきかどうかで賛否」

という記事が出ていました。

 内容は、

「今回の議論のきっかけは2018年2月10日に出たツイートだ。お店でレジ打ちしていたときに男子高校生が「ありがとうございます」と会計後にお礼を言ったところ、その友人が、「お前店員にお礼とか恥ずかしい事すんなや」と言った、というものだ。2月14日までに3万2000を超えるリツイートと、6万5000以上の「いいね」が付いた。

というもの。

 こんなことが賛否になるなんて、日本人の品性もここまで落ちたのかと思うと、同じ日本人として情けなくなります。

 こんなの、お礼を言うべきかとかいう問題じゃぁない。

 不要論の主張としては、「コンビニの店員ふぜいに礼なんて必要ない」とか、「自動販売機みたいなものだからお礼を言う必要はない」、とかいった意見があるみたいですが、そいうことではないでしょう。

 なぜ、「ありがとう」ということが"恥ずかしい"のか??

 仮に、自動販売機と同列扱いしたとしても、「ありがとう」と、感謝の言葉を口にすること自体は、何ら恥ずかしいことではないだろう??

 何かに対して感謝の言葉をかけるのは、人間としての当たり前のマナーであり、品格だと思います。

 例えば僕は、ボールペン一本にしても、使い切って捨てる時は、「ありがとう、ご苦労様」と言って捨てます。
 
モノに対して語りかけるなんて「変」と言われてもそれは構わないが、何ら"恥ずかしい"ことではないと思います。

 それがモノではなく人であれば、なおさら「ありがとう」と言ったって、「別に言わなくてもいい」という意見はあったとしても、"恥ずかしい"はずがあるわけがない。

 また、「有難う」の語源に言及して、「コンビニの作業ごときの何に対する"有難い"なのか」と主張する、教養の足りない人もいるようですが、こんなの、一種の挨拶であり、人としての礼儀でしょう。
 そんな屁理屈を言う人は、普段から挨拶や何かの言葉一つひとつに、そんな深い意味や目的意識を持って発しているのか?
 本来の意味通りに、千に一つのように「有り難い」ことに対してしか、「ありがとう」を言わないのか?

 ただ、コンビニや飲食店の従業員なんて、下等な人種だと見下し、まるで江戸時代の土佐の上士が、郷士を塵屑扱いするがごとく、「言葉をかけるに価わず」と考えている輩がいるのかも知れません。

 百歩譲って、その考えを許容したとして、「言う必要はない」という輩がいたとしても、その価値観自体は否定しません。
 コンビニや飲食店の店員の格が低いかどうかはともかく、格差意識を持った人間というのは、世界中にいるものです。

 しかし、「言うと恥ずかしい」というのは違うでしょう。

 上士と郷士の喩えで言えば、郷士に対して「ありがとう」ときちんとお礼の言葉をかけられる上士がいたら、それはそれで尊敬出来る立派な人格者ではないでしょうか。
 少なくとも、「恥ずかしい」と思う人なんていないでしょう。

 むしろ、コンビニや飲食の店員相手に、「ありがとうを言ったら負け」となんて思うような輩は、最底辺の人間性しか持ち合わせていないために、普段誰からも感謝されないから、こんなところでしかプライドを発揮できないだけではないかと思う。

「実るほど 頭を垂れる 稲穂かな」

という言葉があります。

 弱い奴ほど格好つけたがる。自分に自信がない奴ほど虚勢をはる。
 自分に自信がある人は、何事も寛大に接することが出来るように思います。
 どんな相手にも、例えそれが自動販売機相手でも、「こんな夜中まで動きっぱなしで立派だなあ」と、感謝の気持ちを持てるくらいの心があってもよいのではないでしょうか。

 

 


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