高評価が理解できない映画「タイタニック」 

 なんで高評価なのかが理解できない映画の解説です。

 「タイタニック」は、説明するまでもありませんが実話を基にした1997年の映画。
 世界はもちろん、日本中にもディカプリオ様ブームを巻き起こした超有名映画です。

 これだけ騒がれるならどんなによく出来た映画かと思ったら…個人的には映画としての良さがさっぱりわからず、むしろ駄作に思えるレベル。
 実話を基にしてるだけに事件の描写については触れませんが、映画のフィクション部分に絞って、理解できないポイントを書いてみようと思います。

(以下、ネタばれあり)

1.ローマの休日ですかこれ

 まず思ったのがこれ。
 名門お嬢様と貧乏青年との階層をこえたラブロマンスって、あまりにも既視感ありまくり。
 いや、鉄板の構成として容認したとしても、親が一方的に決めた結婚相手に納得できず、偶然であった青年と恋に落ち、気取らない庶民の遊びを通じて本当の自分を楽しむって……なんのひねりもないんかい!!

 こんなありきたりの筋書きが高評価されるのが理解できない。
 こうした設定の映画や小説が初体験の中高生が興奮するのはわかるが、大人の映画好き含めた世界中が熱狂した理由が全然わからない……;
 

2.二人の関係に高い精神性が皆無

 命の恩人とはいえ、どこの馬の骨かも分からない男を一目惚れ同然に恋し、出会って数日で体の関係を持つようなあばずれ女に全く魅力を感じない。それも、いくら親が勝手に決めた相手とはいえ、フィアンセがいるというのに。

 もちろん、家も何も捨てて駆け落ちしたくなる恋愛というのはあるでしょうけど、そんな領域に達するほどの出来事があったわけでもなく。
 主人公の「ジャック」が、本当に素晴らしい男性だとしても、出会ってわずか数日、それもちょこちょこ密会した程度でそんなことわかるわけないし、こんなわずかな接点でそういう相手だと考え、あっさりヤってしまってること自体、尻軽過ぎる。
 現実だったらこんなの、ただのDQN女だと思うが……(笑)

 もっとも、日本と欧米人との違いとか時代背景に違いがあるとかいう人もいるでしょうけど、100年の愛の物語のようなシナリオにするには、浅すぎて感情移入できない。

 なぜ、乗船する前から深い愛情で結ばれていた二人にしなかったのか??
 わざわざローマの休日設定にしたことがそもそもの間違いだと思う。

3.上流階級に対するアメリカ人コンプレックスが滑稽

 とにかくもう、上流階級をバカにしたい感がミエミエ過ぎる。
 映画の中で登場する上級階級は、全てが上辺だけ取り繕った中身のない存在として描かれるのですが、やりすぎだ。

 まるで、上流階級の人間は、ただしきたりや作法に決められた通りに振る舞うだけで、まるで自分の意思がないような扱いになっている。

 上流階級が素晴らしいとも立派だとも思わないが、マナーだとか作法だとか、シガーやブランデーを楽しんだりするのは、彼らなりの楽しみ方であって、別に嫌々やってるわけではない。
 政治や経済の話をするのも、時代背景からして当時は現代とは比べものにならない格差社会であり、当時の上級階層の人々はそれを生業にしてるからであって、無理に格好付けてるわけではない。
 もちろん、それが高尚だとかいうつもりはないが、だからといって庶民の雑談のほうが素晴らしいわけでもなく、上流階級の人間を中身が空っぽのように描くのは、わざとらしすぎる。

 ここまであからさまにやられると、上流階級をバカにしたいという制作者の意図が見えすぎて、興ざめしてしまう。アメリカ人はこういうのが大好きなのかも知れないけど、1997年制作の映画でこれをやるってあまりに時代錯誤じゃないか??

 この映画では、そうした上流階級の世界の虚構をぶち壊し、自由な意思のまま生きようと思うローズを、人間味あふれる魅力的な女性として描こうとするわけですが、やってることは、唾とばしをしたり、見ず知らずの男と飲み物を回しのみしたり、裸を晒したりと、下品すぎるわ!

 そして、上流階級からは「成金」として白い眼で見られているモリー・ブラウン女史のほうを、素晴らしい人物として描くわけですが、この方は実在の人物で、沈んだタイタニック号に救援ボートで向かうなど、その素晴らしい人間性は事実とはいえ、映画の中では上級階級を貶めようるために利用する描き方があざとすぎる。

 

 ……とまあそんなわけで、とにかくジャックとローズの二人の関係に、深い愛情の結びつきとか必然性とかが全く見られない。だから感動しようがない。

 簡単にまとめると、ようは欲求不満の尻軽女をイケメン青年がナンパしてヤっちゃった話でしょ。
 そんなワンナイトラブが生涯忘れられない想い出になってるのも意味不明だし(その後のローズはそこまで中身のない人生を送ったのか笑)、なんでこんな中身のないフィクションに世界中が酔いしれたのかが全く理解できなかった、という話でした。

 


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