横浜に必要なのはカジノじゃない2
 

 横浜にカジノを誘致することが具体的になってきました。
 先の記事では感情的なことばかり書いたので、ここではもう少し中身のことを書きます。

 どうにも止まらないのであれば、「どんなあり方」を考えるしかない。
 そうなると、
僕はやっぱり、きちんと横浜の歴史や文化と向き合うことだと思う。

 ただ、そもそも「カジノ」という表現に疑問を持つ人もいることでしょう。
 あくまでカジノ含む総合リゾート施設であって、カジノを建てるわけじゃない、と。

 世界のカジノ含むリゾート施設は、それぞれビジネスモデルが異なり、日本でのカジノは全面積の3%以下。
 あくまで、総合リゾート施設の財布としてのカジノに過ぎず、まるで巨大なカジノが出現するわけではない、と。

 けど、やっぱり「カジノ」だと思います。
 リゾート施設ならリゾート施設でいいじゃないか。カジノを入れる必要はない。

 ただ、カジノを入れたほうが儲かるから入れるわけでしょう。
 だから、どういう名前で、どんなアミューズメント施設が入ろうが、他のリゾート施設との違いは「カジノ」があること。
 また、面積3%といっても、おまけではなく、収益の柱になるくらいのウェイトがあることでしょう。

 ギャンブル依存症への危惧については、日本人は6千円の入場料が必要で、年間利用回数にも制限があるようなので、それなれば韓国の江原のカジノのように、ギャンブルで身を崩した人間や金貸し・質屋が乱立するようなことにはならないでしょう。

 しかしそもそも、アジア内でのカジノの利用者の大半は、中国人富裕層です。
 日本にカジノを作っても同じことになるでしょう。

 外国人の金を日本に落としてもらう、それ自体はいいことだ。
 むしろガンガンやったほうがいい。

 ……ただ、これって単純に、アジア内の中国人富裕層が、どこの国のカジノに流れるかの、ただの横移動って話ですよね?
 そして、
カジノ運営者として名乗りを上げているのは、当然ながらそうしたアジアのカジノの運営実績のある外資企業で、日本企業はカジノ運営実績のないセガサミーのみ。

 何がいいたいかって、結局、外資の食い物にされるだけじゃないのか? という嫌な予感。

 マカオやシンガポールに落としている金が、日本に落ちるようになったら、それはいいことだ。
 けれど、普通に考えたら、パイというのは決まっている。
 カジノを増やしたらアジアのカジノ市場が広がるかというと、そもそもカジノというもの自体が、一部の富裕層を相手にしたビジネスモデルであれば、カジノの場所を増やしても売上はそう増えない。
 アジアでカジノ運営をやっている外資の奴らがそれをわからないわけがないので、それでもあえて日本のカジノ運営に名乗りを上げるということは、それでも儲かる方法を考えているということ。

 ってことは、結局、外資に金を吸い上げられて、日本にはたいして残らないんじゃないか?
 それこそ、マネーロンダリングといった怪しい金の動きに利用されたり、カジノの背後に存在する闇の部分のやつらのためにカジノを誘致しようと躍起になってるのでは? と、どうしても思ってしまう。

 といって、市場を広げるために、日本国内一般人への門戸を広げたら、韓国の江原のようにギャンブルで身を崩す人間が増加し、街が荒れてしまう。

 つまり何がいいたいかというと、「総合リゾート施設」というのなら、その「カジノ以外の部分」に何を作るのか、どれだけ魅力的なものを作れるのか? を、もっと議論すべきだと思うのです。

 それが、「横浜の歴史と文化に向き合う」ということだと思うのです。

 カジノなんて関係なく、「これぞ日本!」「これぞ横浜!」と思えるアミューズメントパークにできるのか。
 マカオやシンガポールに行ってる場合じゃない、日本でなければ味わえない「非日常」を、どれだけ味わえるか、だと思うのです。

 日本の観光地で海外から人気がある場所は、当然「日本らしさ」があるところです。
 マンハッタンやロサンゼルス、マカオで味わえるものと同じものが日本にあっても意味がない。

 けど、西洋コンプレックスの強い日本人には、その感覚が弱く、日本らしさをあえて壊し、安易に洋風化したがる。
 ホテル業界なんかでは、昔からずっと言われてきたことですね。
 日本人は、西洋コンプレックスが強いから、欧米の最先端に負けないものを作りたがり、欧米の建築家に設計の依頼をする。
 けれど欧米の人からすると、日本には日本特有のすばらしい美的感覚があるのに、なぜそれを否定して、ヨーロッパにはどこにでもある「洋風」化をしたがるのか、と。

 前の記事で僕が言いたかったことの根っこにあるのはこの感覚で、日本の主要都市の中でも、特に横浜は、「横浜らしさ」の表現が全くできていない。横浜の文化自体を、横浜市民ですら理解していない。

 そんな状況で、横浜に総合リゾート施設を作ったところで、横浜らしい、横浜の個性にあふれたものができるとは思えない。

 まず先に、「横浜らしさを表現するために、どうしてもやりたいビジョンがある。ただ、その運営・維持にはものすごい金がかかる。だから、その財源としてカジノが必要」というのならわかる。

 けれど、世界中から人を新たに人を呼び込むためのビジョンもないまま、「カジノを入れれば儲かる」というだけでカジノを設置し、その運営も実績のある外資で、なんてことになったら、うま味は全部外国に吸い上げられてしまうだけのように思えてしまう。

 そもそも日本には、純日本製で儲かっているアミューズメント施設がないし、飲食も儲からない。
 既存のパイを取り合いにしたって、日本にとっていったい、何のメリットがあるのだろう?

 横浜の施設で500億の売上が増えたとして、京都、大阪、九州の売上が500億下がったのでは意味がない。
 横浜に行かないといけない理由が「世界で横浜にしかないもの」であってはじめて日本にとって意味があるのであって、その目玉がカジノというのは絶対に違うと思う。

 カジノカジノという前に、まずカジノ抜きで「どんな魅力あるリゾート施設を作る気なのか」を話題にしてほしいと思う、今日この頃です。
 

 


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